本格アマトリチャーナのレシピ
グアンチャーレとトマトとペコリーノで作る本格アマトリチャーナ。白ワインで香りを立たせ、とろりと煮詰めるのがポイントです。日本のスーパーで揃う材料での作り方と、失敗しないコツも紹介します。
- 調理時間
- 30分
- 人数
- 2名分
- 材料費
- 約¥1000
- 難易度
- やさしい

この料理について
アマトリチャーナの故郷は、ローマから北東へ140キロほど、山あいの小さな町アマトリーチェです。はじまりは、羊飼いたちが移動の途中で作っていた「グリーチャ」という料理でした。塩漬けの豚肉とチーズだけの、質素な一皿です。19世紀の初めごろ、そこにトマトが加わって、いまの形になったと伝えられています。
アマトリーチェは1927年まで行政上は隣のアブルッツォ側に属していました。つまりこの料理は、州の境界線よりも古い歴史を持っています。2020年には欧州連合の制度で伝統特産品として登録され、材料と作り方が公式の文書で守られるようになりました。2016年の大地震で町が大きな被害を受けたときには、世界中の料理店がこの一皿を出して支援を寄せました。アマトリチャーナは、小さな町の名前を世界に運びつづけている料理です。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
本格アマトリチャーナの材料は、グアンチャーレ、トマト、ペコリーノ・ロマーノ、白ワイン、唐辛子。これだけです。公式の文書に定められた材料の数は驚くほど少なく、それぞれの役割がはっきりしています。だからこそ、一つひとつの扱いが仕上がりを決めます。
材料(2人分:調理時間30分)
| 材料 | 量 |
|---|---|
| スパゲッティ | 160g |
| グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け) | 60g |
| ホールトマト(缶) | 240g |
| ペコリーノ・ロマーノ(すりおろし) | 20g |
| 白ワイン | 大さじ2 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 小さじ1 |
| 唐辛子(乾燥) | 1本 |
| 塩(パスタ用・ソース用) | 適量 |
作り方
-
グアンチャーレ(60g)を7〜8mm幅の棒状に切ります。フライパンにエキストラバージンオリーブオイル(小さじ1)と唐辛子(1本)を入れ、弱めの中火でグアンチャーレをじっくり炒めます。
なお、脂身が透き通り、縁が軽く色づくまで急がないのがポイントです。強火では香りが出る前に焦げてしまいます。
-
白ワイン(大さじ2)を注ぎ、アルコールの香りが飛んだら、グアンチャーレだけを取り出して脇に置いておきます。
この「取り出す」一手間が伝統の作り方です。カリッとした食感を最後まで残すためです。
-
同じフライパンにホールトマト(240g)を手でつぶしながら加え、塩をひとつまみ。中火で10〜15分、木べらで底をなぞると跡がしばらく残るくらいまで煮詰めます。
-
その間に、鍋にたっぷりの湯を沸かして塩を加え、スパゲッティ(160g)をアルデンテに茹でます。
-
ソースに取り出しておいたグアンチャーレを戻し、5分ほどなじませます。茹で上がったパスタを加えて和え、火を止めてからペコリーノ・ロマーノ(20g)を振り入れ、手早く混ぜて皿に盛ります。
⚠️ やってはいけないこと
- 香りの強い野菜類を刻んで加えない: 甘みや深みを足したくなりますが、この料理は豚の脂とトマトだけで味の骨格が立つように組み立てられています。余計なものを足すことは、別の料理への一歩です。
- グアンチャーレを強火で焦がさない: 苦みが出て、脂の甘みが失われます。低めの温度でゆっくり脂を引き出します。
- チーズを火にかけて煮込まない: ペコリーノ・ロマーノは必ず火を止めてから。加熱しすぎると固まって、だまになります。
日本のスーパーの材料でも、アマトリチャーナの骨格はきちんと再現できます。グアンチャーレの代わりに厚切りベーコン、ペコリーノ・ロマーノの代わりに粉チーズを使います。燻製の香りが少し加わりますが、トマトと脂のうまみという芯は変わりません。
主な変更点
- グアンチャーレ → 厚切りベーコン(燻製の香りが加わります)
- ペコリーノ・ロマーノ → 粉チーズまたはパルミジャーノ・レッジャーノ(塩味がまろやかになります)
- ホールトマト → カットトマト缶(つぶす手間が省けます)
材料(2人分:調理時間30分)
| 材料 | 元の名前 | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| スパゲッティ(乾麺) | spaghetti | 160g | どこでも | 太めの麺ほどソースに合います |
| 厚切りベーコン | guanciale | 70g | 精肉・加工肉コーナー | 塊のベーコンならなお良い |
| カットトマト缶 | pomodori pelati | 240g | 缶詰コーナー | ホールトマト缶(つぶして使う) |
| 粉チーズ | pecorino romano | 20g | チーズ売り場 | パルミジャーノ・レッジャーノ |
| 白ワイン | vino bianco | 大さじ2 | 酒売り場 | 省略可 |
| オリーブオイル | olio extravergine | 小さじ1 | どこでも | — |
| 唐辛子(乾燥) | peperoncino | 1本 | スパイス売り場 | 黒胡椒 |
| 塩 | sale | 適量 | どこでも | — |
作り方
-
厚切りベーコン(70g)を1cm幅に切り、オリーブオイル(小さじ1)と唐辛子(1本)と一緒に冷たいフライパンに入れ、弱めの中火でじっくり炒めます。脂がじゅわっと出て、縁が軽く色づいたら次へ進みます。
-
白ワイン(大さじ2)を回し入れます。照り焼きに料理酒を使うときと同じで、香りの層をひとつ足すための一手間です。アルコールの香りが飛んだら、ベーコンを一度取り出します。
なお、白ワインがなければ省略してもかまいません。香りの立体感は少し減りますが、失敗にはなりません。
-
同じフライパンにカットトマト缶(240g)を加え、塩をひとつまみ。中火で10分ほど、木べらで底をなぞると道がしばらく残るくらいまで煮詰めます。肉じゃがの煮汁を煮詰めて味を決めるときの感覚です。
-
その間に、塩を加えた湯でスパゲッティ(160g)を表示時間より1分短めに茹でます。茹で汁を大さじ2ほど取り分けておきます。
-
ソースにベーコンを戻して5分なじませ、茹で上がったパスタと茹で汁(大さじ2)を加えて和えます。火を止めてから粉チーズ(20g)を振り入れ、手早く混ぜれば、とろりとソースが絡みます。
ヒント&コツ
- 唐辛子(1本)は油と一緒に温めると、辛さではなく香りが移ります。辛いのが苦手なら黒胡椒でも十分です。
- ソースの煮詰め加減が味の決め手です。水っぽいと感じたら、もう2〜3分待ちましょう。甘みは煮詰めから生まれます。
- 粉チーズは必ず火を止めてから。余熱で十分に溶けます。この三つを守れば、本場のアマトリチャーナにもひけを取らない一皿になります。
スーパーの材料でも、ここまでくればアマトリチャーナの芯はしっかり残っています。いつかローマの路地の食堂で湯気の立つ一皿に出会ったら、自分の台所のフライパンの記憶が、静かに重なるはずです。
⚠️ ここで紹介するのは、コンビニの材料だけで簡単に作る簡易版です。本来の味とは違います。それでも、遅く帰った夜に熱いトマトのパスタが一皿あるだけで、少し息がつけます。時間のある週末には、日常レシピ(L2)もぜひ試してみてください。
材料(1人分)
| 材料 | 量 |
|---|---|
| スパゲッティ(乾麺) | 1袋(100g程度) |
| ベーコン | 1パック |
| カットトマト(缶) | 1缶(200g程度) |
| 粉チーズ | 大さじ2 |
| 黒胡椒 | 少々 |
| 塩 | 少々 |
作り方
- 湯を沸かして塩を加え、スパゲッティを袋の表示通りに茹でます。
- ベーコン(1パック)を切ってフライパンで炒めます。脂がじゅわっと出て、カリカリになったら火を弱めます。
- カットトマト(1缶)を加えて、ぐつぐつ5分煮詰めます。時短でも、煮詰めるほど味は決まります。
- 茹で上がったパスタを入れて、ぐるっとひと混ぜします。
- 火を止めて粉チーズ(大さじ2)と黒胡椒。とろっと絡んだら完成です。
余裕のある日には、白ワインと厚切りベーコンで作る日常レシピ(L2)も試してみてください。同じトマトのパスタが、ひと呼吸深い味になります。
よくある質問
ブカティーニとスパゲッティ、どちらで作るのが正しいですか?
どちらも本場の形です。故郷のアマトリーチェではスパゲッティが伝統で、町は「スパゲッティの町」を名乗るほどです。一方、ローマの食堂では穴の開いた太麺ブカティーニが定番になりました。ソースの絡み方が変わるだけで、味の骨格は同じです。
甘みを出すために香味野菜を加えてもいいですか?
伝統の作り方では加えません。トマトの酸味と豚の脂の甘みだけで味が完成するように組み立てられているからです。物足りなく感じたら、まず煮詰め時間を2〜3分延ばしてみてください。甘みは野菜からではなく、煮詰めから生まれます。
グアンチャーレはどこで買えますか?
輸入食材を扱う店や通販で手に入ります。近くで見つからない場合は、厚切りベーコンで作る日常レシピ(L2)でも、この料理の性格は十分に伝わります。
辛いのが苦手です。唐辛子は必須ですか?
必須ではありません。公式の文書でも、唐辛子と黒胡椒のどちらを使ってもよいとされています。黒胡椒だけでも十分に香り高く仕上がります。
ソースは作り置きできますか?
ソースだけなら冷蔵で2日ほど持ちます。一晩おくと味がなじんで、むしろ落ち着きます。チーズを入れる前の状態なら冷凍もできます。パスタと和えるのは、食べる直前にしてください。
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