Liguria · リグーリア

トロフィエ・ジェノベーゼのレシピ

Trofie al pesto genovese

リグーリアの手打ちパスタ「トロフィエ」に、バジル・松の実・ニンニクのペストを和えた伝統的な一皿。じゃがいもといんげんを一緒に茹でる農村の知恵も再現します。

ジェノバのトラットリアで供されるトロフィエ・ジェノベーゼ:いんげんとバジルペストを和えた本場リグーリアの一皿
調理時間
40分
人数
4名分
材料費
約¥2000
難易度
ふつう
ガラス瓶に詰めた手作りバジルペスト・ジェノベーゼ、新鮮なバジルの葉とニンニクを添えて

3つのレシピ、ひとつの料理

同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。

バジルは乳鉢(モルタイオ)で仕込み、トロフィエは生地から手打ちします。時間はかかりますが、この工程がペストの香りを最大限に引き出します。

材料(4人分)

パスタ(手打ちトロフィエ)

材料分量
薄力粉(または中力粉)200g
水(常温)100〜110ml
粗塩ひとつまみ

ペスト・ジェノベーゼ(乳鉢仕込み)

材料分量
バジル(生、できれば小さい葉)40〜50g
松の実50g
ニンニク1〜2片
パルミジャーノ・レッジャーノ(すりおろし)30g
ペコリーノ(すりおろし)20g
粗塩ひとつまみ
エキストラバージンオリーブオイル80ml

茹で・仕上げ

材料分量
じゃがいも(中)2個
いんげん150g
粗塩(茹で水用)適量

作り方

1. 生地をこねる

薄力粉と粗塩をボウルに合わせ、水を少しずつ加えながらひとまとめにします。台に移して5〜7分こね、表面がなめらかになったらラップをかけて30分ほど休ませます。

2. トロフィエを成形する

生地を親指ほどの太さの棒状に延ばし、1.5〜2cmの幅に切り分けます。小さな切れ端を、人差し指と中指の腹でまな板の上に当て、斜めにすべらせながら押しつぶします——先端が細くなるらせん形を目指します。慣れるまで時間がかかりますが、多少不揃いでもペストはよく絡みます。

なぜこの形か:ねじれた表面がペストを隙間に抱えこみ、ソースとパスタが一体になります。似た原理で、コルク抜きが瓶口を掴む構造です。

3. 乳鉢でペストを作る

まず松の実(50g)と粗塩少々を乳鉢に入れ、円を描くようにゆっくり押しながら粗く潰します。バジル(40〜50g)を少量ずつ加え、押しつぶすように処理します——刃で切断するのではなく、細胞を傷つけることで精油を引き出すのが乳鉢の利点です。ニンニク(1片)は別に塩少々と一緒に潰してから合わせます。全体がなめらかになったら、パルミジャーノ(30g)とペコリーノ(20g)を加え、オリーブオイル(80ml)を糸状に注ぎながら乳鉢を傾けて回します。

なぜ乳鉢か:電動ミキサーは刃の摩擦熱でバジルを酸化させ、色が黒ずみ、香りが飛びます。乳鉢ならバジルの細胞を丁寧に押しつぶすため、精油が揮発しにくく、鮮やかな緑のまま仕上がります。

4. 下ごしらえ

じゃがいも(2個)は皮を剥いて2cm角に切ります。いんげん(150g)は筋を取って4〜5cmの長さに切ります。

5. 茹でる

大きな鍋にたっぷりの湯を沸かし、湯量の1%の塩(湯1リットルに対して塩10g)を加えます。じゃがいもを先に入れて3〜4分茹でてから、いんげんとトロフィエを同時に加えます。トロフィエが浮き上がって1〜2分後が目安ですが、試食して芯がなくなったら引き上げます。

なぜ同じ鍋で茹でるか:じゃがいものでんぷんがゆで水に溶け出し、そのゆで水をペストに加えることでソースがなめらかに伸びます。農村の一鍋料理の知恵が、結果的に理にかなった調理法でした。

6. 和える

茹で上がる直前にゆで汁をカップ1杯(200ml)ほどすくい取っておきます。ザルに上げたら、大きなボウルにペストを移してゆで汁(大さじ2〜3)でのばし、熱いうちにトロフィエ・じゃがいも・いんげんを加えてやさしく混ぜます。

ポイント:ペストは火にかけないこと。高温はバジルの香りを飛ばし、色も黒ずみます。茹で上がりの余熱だけで十分です。

7. 盛りつけ

皿に盛り、好みでパルミジャーノをひとふりします。バジルの葉を数枚のせても。作り立てをすぐにいただきます。

⚠️ やってはいけないこと

ソースに生クリームや乳製品のソースを加える ペスト・ジェノベーゼにクリーム系の素材は入りません。ソースの豊かさはチーズと松の実の油脂から来るものです。

松の実を他のナッツ類に替える 松の実は高価ですが、代えは利きません。他のナッツで作ったものはペスト・ジェノベーゼとは別の料理です。

ペストをフライパンで温める ペストは加熱すると香りが飛び、バジルが黒ずみます。パスタの余熱だけで和えてください。

生地に乳脂肪を加える トロフィエの生地は小麦粉と水だけです。動物性の乳脂肪は伝統には含まれません。


よくある質問

Q. バジルがなければ代用できますか? A. ペスト・ジェノベーゼはバジルが主役であるため、バジルなしでは根本から別のものになります。ただ、日本のスーパーで売っている大葉バジル(イタリア産の小葉品種とは香りが異なりますが)でも十分においしいペストが作れます。ポットごと購入すれば少量から使えて経済的です。

Q. 松の実は必ず使わないといけませんか? A. 本来の配合では松の実が欠かせない素材のひとつです。独特の油脂が、バジルやチーズとひと味ちがうコクを生み出します。カルディや成城石井でも50〜100gの小袋で取り扱っていることが多いので、試してみてください。他のナッツ類を代用した場合は、ペスト・ジェノベーゼとは異なる風味の一皿になります。

Q. ペストは作り置きできますか? A. 当日中が最もおいしい状態です。保存する場合は、表面をオリーブオイルで薄く覆い、密閉容器に入れて冷蔵で2〜3日以内が目安です。冷凍すると色が落ちますが、味は1か月ほど保てます。製氷皿で小分けに凍らせると、必要な量だけ取り出せて便利です。

Q. じゃがいもといんげんは省略できますか? A. 省略しても食べられますが、リグーリアの伝統的な食べ方ではありません。じゃがいものでんぷんがペストとパスタをなめらかにつなぐ役割を持っているため、特に乾燥パスタを使う場合は入れた方がまとまりよく仕上がります。

Q. 乾燥トロフィエが手に入らない場合はどうしますか? A. カサレッチェやジェンメッリのような、ねじれた形の短いパスタが最も近い代用になります。リガトーニやペンネでも味は成立しますが、表面の凹凸が少なくなるためペストの絡まり方が変わります。