パスタ・アッラ・ノルマ
なすをたっぷりの油で揚げ、トマトソースと合わせ、リコッタ・サラータを削る。日本のスーパーで手に入る材料で作るシチリア生まれのパスタ・アッラ・ノルマのレシピです。

- 調理時間
- 35分
- 人数
- 2名分
- 材料費
- 約¥1200
- 難易度
- ふつう

この料理について
パスタ・アッラ・ノルマは、シチリア州カターニア生まれの郷土パスタです。十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、この地の食堂で広まったとされています。名前の由来は、カターニア出身の作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニが書いたオペラ「ノルマ」(1831年初演)。劇作家のニーノ・マルトリオがこの料理を口にして「まるでノルマだ」と叫んだという逸話が伝わりますが、文献上の確認は難しく、名称の定着は二十世紀に入ってからと見られています。
この料理の核心は、なす、トマトソース、バジル、そしてリコッタ・サラータ(塩蔵・熟成したリコッタ)の四つ。最後の一つが、他の「なすのパスタ」とこの料理を分ける決定的な存在です。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
なす、トマト、バジル、リコッタ・サラータ。この四つが揃ったとき、パスタ・アッラ・ノルマになります。揚げたなすの食感と、削りたてのリコッタの塩気と乳味。ソースには混ぜ込まず、仕上げに添えることで、それぞれの素材の個性が皿の上で初めて出会います。
材料(2人分:調理時間35分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| ペンネまたはリガトーニ | 160g |
| なす(長なすか紫なす) | 300g |
| 完熟トマト(またはホールトマト缶) | 350g |
| リコッタ・サラータ(塩蔵熟成リコッタ、削り用) | 50g |
| にんにく | 1かけ |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ2 |
| 揚げ油 | 適量(多め) |
| バジル(フレッシュ) | 8〜10枚 |
| 塩 | 適量 |
作り方
-
なす(300g)を2cm角に切ります。塩(小さじ1/2)をまぶし、10〜15分ほどおきます。出てきた水気をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
なお、塩出しをしておくと油が跳ねにくくなり、揚がった後の食感もよくなります。
-
揚げ油を170〜180℃に熱し、なす(300g分)を少量ずつ揚げます。表面がきつね色になり、菜箸を刺すとすっと入るくらいが目安です。引き上げてキッチンペーパーに広げ、油を切ります。
ポイントは一度に入れすぎないこと。油の温度が下がると、なすが油を吸いすぎてしまうためです。
-
フライパンにエキストラバージンオリーブオイル(大さじ2)とにんにく(1かけ、軽くつぶす)を入れ、弱火でじっくり2〜3分、香りが出るまで加熱します。にんにくが薄く色づいたら取り出します。
-
トマト(350g)を加え、中火で15〜20分ほど煮ます。フレッシュトマトの場合は、あらかじめ湯剥きしてざく切りにしておきます。バジル(4〜5枚)を途中で加え、塩で味を整えます。
なお、ソースは軽く煮詰めて水分を飛ばすと、パスタと絡めたときにちょうどよい濃度になります。
-
たっぷりの塩湯でペンネ(160g)をアルデンテより少し固めに茹でます。茹で汁を大さじ2ほど取り分けておきます。
-
ソースのフライパンにペンネ(茹で上がり分)と茹で汁(大さじ2)を加え、中火で1〜2分絡めます。
-
皿に盛り、揚げたなすを乗せ、リコッタ・サラータ(50g)をおろし金で削りながらかけます。バジル(残り)の葉を数枚添えて完成です。
リコッタ・サラータはソースに混ぜ込まず、削りながら皿に乗せること。こうして初めて、なすとソースの上にやわらかい塩味がのります。
⚠️ やってはいけないこと
- 生のリコッタ(フレッシュリコッタ)で代替する → 塩気も熟成の風味もなく、まったく別の料理になります。リコッタ・サラータは輸入食材店か通販で入手できます。
- なすをグリルする → 柔らかくはなりますが、揚げたときのコクとカリッとした食感は得られません。「なすを揚げる」がこの料理の核心です。
- リコッタ・サラータをソースに混ぜる → 削りたての食感と香りが失われます。
主な変更点
- リコッタ・サラータ(輸入品)→ 粉チーズ(パルメザン)。乳味よりも香ばしさが前に出ます。リコッタ・サラータより塩気が強いので、量は少なめにします。
- フレッシュトマト → ホールトマト缶(400g)。季節を問わず安定した酸味が出ます。
- なすは日本の長なすで代用可。シチリア産より水分が多いので、塩出しを丁寧に行います。
日本のスーパーで手に入る材料で作るパスタ・アッラ・ノルマです。なすを揚げる工程はそのままです。ここを変えると、この料理ではなくなります。さっそく、いっしょに作っていきましょう。
材料(2人分)
| 材料 | 分量 | 入手先 | 本場との違い |
|---|---|---|---|
| ペンネ(乾麺) | 160g | 輸入食材コーナー | — |
| 長なす | 2本(約300g) | 野菜売り場 | シチリアのなすより水分が多い |
| ホールトマト缶 | 1缶(400g) | どこでも | フレッシュより酸味が安定 |
| 粉チーズ(パルメザン) | 大さじ3 | どこでも | リコッタ・サラータより塩辛め |
| にんにく | 1かけ | どこでも | — |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ2 | どこでも | — |
| 揚げ油 | 適量 | どこでも | — |
| バジル(フレッシュ) | 6〜8枚 | ハーブコーナー | 乾燥バジルでも代用可(風味は穏やかに) |
| 塩 | 適量 | — | — |
作り方
-
長なす(2本、約300g)を2cm角に切り、塩(小さじ1/2)をまぶして15分ほどおきます。水気が出たらキッチンペーパーで拭き取ります。
日本のなすはシチリア産より水分が多いので、この塩出しを丁寧に行うと油の跳ねが少なくなります。
-
揚げ油を170〜180℃に熱し、なすをこんがり揚げます。菜箸を刺してすっと入ればOKです。取り出して油を切ります。
天ぷらを揚げるときと同じ感覚で。色がついて、菜箸を刺すとすっと入るくらいで引き上げます。少量ずつ揚げると温度が安定します。
-
フライパンにオリーブオイル(大さじ2)とにんにく(1かけ)を入れ、弱火で2分ほど香りを出します。にんにくが色づいたら取り出し、ホールトマト缶(400g)を加えます。手で軽くトマトを潰しながら中火で15分ほど煮ます。バジルを加え、塩で味を整えます。
なお、ちょうど煮魚の煮汁を仕上げるときのように、少し詰まったくらいがパスタとの絡まりがちょうどよくなります。
-
たっぷりの塩湯でペンネ(160g)をアルデンテより少し固めに茹でます。茹で汁を大さじ2取り分けておきます。
-
ソースにペンネ(茹で上がり分)と茹で汁(大さじ2)を加え、中火で1〜2分絡めます。
-
皿に盛り、揚げたなすを乗せ、粉チーズ(大さじ3)をふります。バジルを添えて完成です。
粉チーズはソースに混ぜず、仕上げにふること。本場のリコッタ・サラータより塩気と香ばしさが強いので、少量から試してみてください。
ヒント&コツ
- なすは小分けにして揚げると温度が下がりにくく、きつね色に仕上がります。
- ソースにペンネを加えるとき、茹で汁を足すと全体がまとまりやすくなります。
- 粉チーズの代わりにペコリーノ・ロマーノ(輸入食材コーナー)があれば、より本場に近い味わいになります。
- 保存する場合は、ソースとなすを別々に冷蔵保存すれば2日ほど保ちます。なすをソースに混ぜ込んでしまうと食感が損なわれます。
シチリアの夏の味を、自分の台所で。揚げたなすのコクと、トマトの酸味と、削ったチーズの塩気——この三つが皿の上で出会う瞬間が、このパスタを「ノルマ」と呼ばせた理由かもしれません。次にカターニアを訪れることがあれば、路地裏のトラットリアでこの一皿を頼んでみてください。あなたの台所の記憶と、静かに重なるはずです。
⚠️ これはコンビニの材料で作る簡易版です。本来のパスタ・アッラ・ノルマとは味が大きく異なります。時間のあるときは、日常レシピ(L2)もぜひ試してみてください。
なすのパスタの骨格は、なすを炒め揚げてトマトソースと合わせること。コンビニの材料でも作れます。疲れた夜に、温かい一皿として。
材料(1人分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| ペンネまたはマカロニ(乾麺) | 1袋(80〜100g) |
| なす | 1本 |
| カットトマト缶 | 1/2缶 |
| 粉チーズ | 大さじ2 |
| チューブにんにく | 2〜3cm |
| オリーブオイル | 大さじ2 |
| 乾燥バジル | 少々 |
| 塩 | 適量 |
作り方
-
なす(1本)を2cm角に切り、フライパンにオリーブオイル(大さじ2)を多めに熱し、中火で5〜7分炒め揚げします。全体がとろっとして色づいてきたら取り出します。
-
同じフライパンにチューブにんにく(2〜3cm)を入れ、弱火で30秒ほど。カットトマト缶(1/2缶)を加え、中火で5〜7分煮ます。乾燥バジルと塩で味を整えます。
-
ペンネ(1袋)を袋の表示通りに茹で、ソースと絡めます。
-
皿に盛り、なすをのせ、粉チーズ(大さじ2)をふります。
時間のある週末には、揚げたてのなすと本格的なチーズで、もう少し丁寧に作ってみてください。同じ素材でも、ずいぶん景色が変わります。
よくある質問
リコッタ・サラータはどこで買えますか?
輸入食材を扱うスーパーや通販で入手できます。見当たらない場合は、ペコリーノ・ロマーノが味の近い代用品になります。粉チーズ(パルメザン)でも作れますが、リコッタ・サラータ特有の乳味と控えめな塩気は再現できません。
なすは必ず揚げなければいけませんか?
揚げることがこの料理の核心です。グリルや炒めでもパスタはできますが、揚げることでなすのうまみが凝縮され、トマトソースとの対比が生まれます。「グリルでも大丈夫」という意見もありますが、それはパスタ・アッラ・ノルマとは別の料理です。
パスタはどの形が一番合いますか?
ペンネかリガトーニがカターニアの伝統的な選択です。断面の広い短い形が、濃いソースをよく拾います。
作り置きや保存はできますか?
ソースとなすは別々に保存すれば冷蔵で2日ほど保ちます。なすをソースに混ぜ込んでしまうと食感が損なわれます。パスタは茹でたてが最もおいしいので、食べる直前に茹でることをおすすめします。
どんなワインに合いますか?
シチリアの赤ワイン(ネロ・ダーヴォラなど)がよく合います。なすとトマトの酸味に負けない、果実味のある赤が向いています。
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