Sicilia · シチリア

カポナータ / Caponata

Caponata

ナスを揚げてオリーブとケッパーを甘酢で和えるシチリアの定番料理。日本のスーパーで揃う材料で、一晩置くだけで濃厚なアグロドルチェに仕上がります。

シチリアのカポナータ、白いプレートに盛られた甘酸っぱいナスの煮込み
調理時間
60分
人数
4名分
材料費
約¥1200
難易度
ふつう
クロスティーニにのせたカポナータ、オリーブとケッパーのテクスチャーのクローズアップ

この料理について

カポナータはシチリア料理を代表する一皿です。アラブがシチリアを支配した9〜11世紀に伝わった甘酢の技法と、同じくアラブがもたらしたナスが合わさって生まれた、というのが有力な説です。もともとは「カポーネ」という魚を甘酢で和えた貴族の料理でした。民衆がその魚を手に入れることができなかったため、旬のナスで代用するようになり、現在の形になったといわれています。

シチリア全土で30種以上のバリエーションがあります。このレシピでは、最もよく知られたパレルモの定番版を紹介します。緑オリーブ、ケッパー、そしてアグロドルチェ(甘酢)のバランスが取れた、香りと食感のある一皿です。


3つのレシピ、ひとつの料理

同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。

カポナータに欠かせない要素は三つ。揚げたナス、オリーブとケッパー、そして甘酢のソースです。この三つが揃ってはじめて「カポナータ」と呼べます。

ナスは必ず揚げること。蒸したり焼いたりすると、揚げ油が絡んだときの深みが出ません。甘酢(アグロドルチェ)は、酸味と甘みのバランスが命です。翌日には酢の角が取れて、さらにまとまります。

材料(4人分)

材料分量
ナス(丸ナスまたは長ナス)600g
玉ねぎ1個(150g)
セロリ2本(100g)
ミニトマト200g
緑オリーブ(種なし)80g
ケッパー(塩漬け)大さじ2(20g)
白ワインビネガー大さじ3(45ml)
砂糖大さじ1と1/2
バジル(葉)10枚
松の実30g
干しぶどう30g
エキストラバージンオリーブオイル適量
揚げ油適量
適量

作り方

  1. ナス(600g)を2〜3cm角のサイコロ状に切り、塩(小さじ1)をふって30分置く。出てきた水分をキッチンペーパーでよく拭き取る。

    なお、この塩出しでナスの余分な水分と苦みを取ります。充分に乾かしてから揚げると、油の跳ねも少なくなります。

  2. ナスを揚げる。 揚げ油を中温(170〜180℃)に熱し、ナスをきつね色になるまで揚げる(3〜4分)。取り出してペーパーで油を切る。

  3. 玉ねぎ(1個、薄切り)をフライパンにEVオリーブオイル(大さじ2)を熱して中火でしんなりするまで5分炒める。

  4. セロリ(2本、2〜3cm幅に切る)を加え、弱火でさらに3分炒める。

  5. ケッパー(大さじ2)を水でよく洗い、塩気を抜く。(酢漬けの場合はそのままでよい。)

  6. ミニトマト(200g、半割)、緑オリーブ(80g)、洗ったケッパー(大さじ2)、松の実(30g)を加え、中火で2分炒める。

  7. 揚げたナスを加えて全体をやさしく混ぜ、バジル(10枚、ちぎる)を加える。

  8. 白ワインビネガー(大さじ3)と砂糖(大さじ1と1/2)を回し入れ、中火のまま1〜2分ほど煮詰めて全体に馴染ませる。

    ポイントは、甘酢を加えてから中火でしっかり煮詰めること。酢の角が取れて、まろやかなアグロドルチェのコクが出ます。

  9. 干しぶどう(30g)を加えてひと混ぜし、塩で味を整える。

  10. 常温で粗熱を取り、冷蔵庫で一晩(最低2〜3時間)休ませる。

⚠️ やってはいけないこと

  • ナスを揚げずに焼かない。 表面に揚げ油が絡むことで、甘酢と馴染んだときの深みが生まれる。焼くと全体がやわらかくなりすぎ、食感が失われる。
  • 甘酢を最初から加えない。 野菜を充分に炒めてから加えること。早すぎると酸味だけが残り、まとまりのない味になる。
  • 休ませずに食べない。 作りたては甘酢が立っていて味がバラバラに感じる。一晩置くことで味がひとつにまとまる。

よくある質問

Q. どのくらい日持ちしますか? 冷蔵で3〜4日保存できます。時間が経つほど甘酢の風味が馴染み、味がまとまります。当日より翌日、翌日よりさらに翌々日がおいしい——そんな料理です。冷凍は可能ですが、ナスの食感が変わるため、食べきれる量をつくることをおすすめします。

Q. ナスは揚げずにオーブンで焼いてもいいですか? できますが、仕上がりは異なります。本来の食感(表面のカリッと、中のしっとり)は揚げることで生まれます。少量の油でも、フライパンで揚げ焼きにすれば近い食感に仕上がります。

Q. 緑オリーブやケッパーが手に入らない場合は? 輸入食材コーナーや業務スーパーに瓶詰めが置いてあることが多いです。どちらかが手に入らない場合も、もう一方だけで代替できます。ただし、両方省いてしまうとカポナータの複雑な風味の核心が失われます。

Q. 前日に仕込んでおけますか? むしろ前日に仕込んでおくべき料理です。翌日の方が格段においしくなります。お持たせや持ち寄りにも向いています。

Q. 松の実と干しぶどうは必ず入れますか? パレルモの伝統では入れる家も多いですが、省いてもカポナータとして成立します。松の実は食感のアクセントに、干しぶどうはほのかな甘みに寄与します。どちらかだけ入れてみるのもよいです。