パンツァネッラ
硬くなったパンをむだにしない、トスカーナの夏のパンサラダ。日本で手に入る材料で、ワインビネガーとトマトの水分だけで、しっとりと角の立った本格パンツァネッラに仕上げます。

- 調理時間
- 25分
- 人数
- 2名分
- 材料費
- 約¥500
- 難易度
- やさしい

この料理について
パンツァネッラは、トスカーナを中心に中部イタリアで作られてきたパンのサラダです。その始まりは16世紀にさかのぼり、当時は硬くなったパン、玉ねぎ、オリーブオイル、酢を和えただけの質素なものでした。トマトが加わったのは1600年代より後のことです。トスカーナのパンは塩を加えずに焼く「塩なしパン」で、それゆえ硬くなっても風味が損なわれにくく、こうしたパン料理に向いていました。豊かな食材ではなく、むだを出さない暮らしの工夫から生まれた料理。そこにこの料理の芯があります。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
本格パンツァネッラの構成は、硬くなった食事パン、完熟トマト、赤玉ねぎ、バジル、オリーブオイル、ワインビネガーです。火は一切使いません。それぞれの素材がどんな役割を持つのかを理解すると、なぜこの組み合わせで成り立つのかが見えてきます。
材料(2人分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 硬くなったパン(塩なしの食事パンが理想) | 150g |
| 完熟トマト | 300g |
| 赤玉ねぎ | 1/2個 |
| バジルの葉 | ひとつかみ |
| 水 | 適量 |
| 赤ワインビネガー | 大さじ2 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ4 |
| 塩 | 少々 |
作り方
- 硬くなったパン(150g)をひと口大にちぎります。水と赤ワインビネガー(大さじ1)を合わせた液に通し、5分ほどおいてやわらかくします。
なお、パンは「ひたす」のではなく「湿らせる」感覚です。ふやけて崩れる手前で止めるのがポイントで、ここを越えると食感が失われます。
-
やわらかくなったパンを両手で包み、ぎゅっと水けをしぼります。しぼったあと、ほろりとほぐれるくらいがちょうど良い状態です。
-
赤玉ねぎ(1/2個)を薄切りにし、水に少量のビネガーを落とした中に10分ほどさらして、辛みと刺激をやわらげます。さらしたら水けをきります。
-
完熟トマト(300g)をざく切りにします。このとき出てくる果汁は捨てず、ボウルに果汁ごと入れます。トマトの水分が、ソースの一部になるからです。
-
ボウルにしぼったパン、玉ねぎ、手でちぎったバジルを加えます。エキストラバージンオリーブオイル(大さじ4)、残りの赤ワインビネガー(大さじ1)、塩(少々)で和えます。
-
冷蔵庫で30分から1時間ほど休ませ、味をなじませます。一晩おくよりも、当日のうちにいただくほうが、パンの食感が残ります。
⚠️ やってはいけないこと
- パンをひたしすぎないこと。水を吸いすぎたパンは崩れ、全体が重くぼやけた味になります。しぼる工程を省かないでください。
- 甘く濃いタイプの熟成した酢を使わないこと。重い甘みは、この料理のさっぱりした輪郭をぼかしてしまいます。使うのは軽い赤ワインビネガーです。
- 缶詰の魚や、やわらかいフレッシュチーズ、甘い粒野菜、黒い実などを足さないこと。にぎやかなサラダにはなりますが、それはもうパンツァネッラとは別の料理です。素材の少なさこそが、この皿の身上です。
トスカーナの塩なしパンは日本では手に入りにくいので、ここではスーパーで買える材料に置きかえます。残ったバゲットや食事パンがあれば、それがいちばんの主役になります。本場のパンツァネッラにもひけを取らない一皿が、家の台所で作れます。
主な変更点
- 塩なしの食事パン → 残ったバゲットや食事系の白いパン。塩けのあるパンになるので、和えるときの塩は控えめにします。
- 赤ワインビネガー → 白ワインビネガー、または穀物酢でも作れます。穀物酢はやや角が立つので、量を少し減らすと穏やかになります。
- きゅうりは好みで加えてかまいません。歴史的にも使われてきた食材で、夏らしい清涼感が出ます。
材料(2人分)
| 材料(JP) | 元の材料(IT) | 分量 | どこで買えるか | 置きかえ |
|---|---|---|---|---|
| 硬くなったパン | パーネ・トスカーノ | 100g | 残ったバゲット等 | 食事系の白いパンで可 |
| 完熟トマト | ポモドーロ | 2個(約200g) | スーパーの青果 | ミニトマトでも可 |
| 赤玉ねぎ | チポッラ・ロッサ | 1/2個 | スーパーの青果 | 普通の玉ねぎでも可 |
| きゅうり(好みで) | チェトリオーロ | 1/2本 | スーパーの青果 | 省いても可 |
| バジルの葉 | バジリコ | ひとつかみ | スーパーの香味野菜 | 乾燥より生を |
| 白ワインビネガー | アチェート | 大さじ1と1/2 | 調味料売り場 | 穀物酢で代用可 |
| エキストラバージンオリーブオイル | オーリオ | 大さじ3 | 調味料売り場 | — |
| 塩 | サーレ | 少々 | — | — |
作り方
- 硬くなったパン(100g)をひと口大にちぎります。水(大さじ4ほど)と白ワインビネガー(大さじ1/2)を合わせた液にさっとくぐらせ、5分ほどおきます。やわらかくなったら、両手でぎゅっと水けをしぼります。
なお、パンが新しくてやわらかいときは、ちぎって10分ほど室温に置き、表面を乾かしてから使うと、水を吸いすぎずにすみます。
-
赤玉ねぎ(1/2個)を薄切りにし、水に酢を少し落とした中に10分ほどさらします。だし汁の塩けを抜くときのように、水にさらすだけで辛みがやわらぎ、生のままでも食べやすくなります。さらしたら水けをきります。
-
完熟トマト(2個)をざく切りにし、果汁ごとボウルに入れます。きゅうり(1/2本)を使う場合は薄切りにして加えます。
-
しぼったパン、玉ねぎ、ちぎったバジルをボウルに合わせ、オリーブオイル(大さじ3)、残りの白ワインビネガー(大さじ1)、塩(少々)で和えます。全体がしっとりまとまったら味をみて、塩で調えます。
-
冷蔵庫で30分ほど休ませます。パンがトマトの果汁を吸って、しっとりしながらも角が残る、この状態がいちばんおいしい頃合いです。
ヒント&コツ
- パンの量とトマトの果汁の量で、しっとり具合が決まります。水けが足りなければオリーブオイルを少し足し、多ければパンを足して調整します。
- 玉ねぎの辛みが気になる方は、さらす時間を長めにとってください。逆に辛みを楽しみたいなら、さっと水にくぐらせるだけでも構いません。
- 作ってすぐより、少し休ませたほうが味がなじみます。ただし時間が経ちすぎるとパンがやわらかくなりすぎるので、当日中にいただくのがおすすめです。
イタリア・トスカーナでは、暑い盛りの昼に、冷えたパンツァネッラとひと切れのパンで食事をすませることがあります。次に本場を訪れることがあれば、木陰の食堂で同じ一皿を頼んでみてください。あなたの台所で和えたあの味と、静かに重なるはずです。
⚠️ ここで紹介するのは、コンビニの材料だけで作る簡易版です。本来の味とは違います。それでも、暑くて何も作りたくない夜に、火を使わず冷たい一皿があることの価値は変わりません。時間のある週末には、日常レシピ(L2)もぜひ試してみてください。
材料(1人分)
- 食事系のパン(残りもの、または1個) … 適量
- ミニトマト … 1パック
- 玉ねぎ … 1/4個分(カット野菜の玉ねぎでも可)
- オリーブオイル … 大さじ1
- 酢(あればワインビネガー) … 小さじ2
- 塩 … 少々
作り方
-
パンをひと口大にちぎり、水と酢を合わせたものをさっとふりかけ、しんなりさせます。手でぎゅっとしぼります。
-
ミニトマトを半分に切り、玉ねぎは薄切りにして水にさっとさらします。しゃきしゃきの食感が残ります。
-
ボウルにパン、トマト、玉ねぎを入れ、オリーブオイルと酢、塩をまわしかけます。
-
全体をざくざくと混ぜ、5分ほどおいてなじませたら出来上がりです。パンがトマトの水分を吸って、しっとりまとまります。
火を使わず、洗いものも少なくてすみます。時間に余裕のある週末には、生のバジルを一枚そえるだけでも、ぐっと本場の香りに近づきます。気が向いたら、日常レシピ(L2)の作り方ものぞいてみてください。きっと驚くはずです。
よくある質問
Q. パンが新しくてやわらかいのですが、作れますか? 作れます。パンをひと口大にちぎって10分ほど室温に置き、表面を乾かしてから使ってください。やわらかいまま水にくぐらせると、吸いすぎて崩れやすくなります。
Q. どのくらい日持ちしますか? 冷蔵で当日中、長くても翌日までにいただくのがおすすめです。時間が経つとパンがやわらかくなりすぎ、食感が失われます。作り置きには向きません。
Q. きゅうりは入れたほうがいいですか? 好みで決めてかまいません。歴史的にも使われてきた食材で、夏らしい清涼感が出ます。入れない作り方も伝統的なので、どちらも正解です。
Q. お酢は何を使えばいいですか? 白または赤のワインビネガーが向いています。手元になければ穀物酢でも作れますが、やや酸味が強く出るので、量を少し控えめにすると穏やかにまとまります。甘く濃いタイプの熟成した酢は、この料理には向きません。

