ティラミスのレシピ
本場トレヴィーゾ発祥の本格ティラミスを、日本のスーパーで手に入る材料で再現します。コーヒーに浸したサヴォイアルディと、生の卵黄で仕立てたマスカルポーネのクリームを重ねた、軽やかで濃厚な一皿です。

- 調理時間
- 40分
- 人数
- 6名分
- 材料費
- 約¥2200
- 難易度
- ふつう

この料理について
ティラミスが今のかたち、つまりマスカルポーネとサヴォイアルディ、コーヒー、ココアパウダーを重ねた、火を使わないデザートになったのは、1970年代初頭のトレヴィーゾでのことだと言われています。レストラン「レ・ベッケリエ」の厨房で、当時のオーナーとパティシエが、それまでクリームやリコッタで作っていた菓子をマスカルポーネに置き換えたのがきっかけとされ、そのレシピは2010年に公証人の手で正式に記録されました。ただし、この起源には異論があります。フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州にも、1950年代にさかのぼる、似た名前の菓子の記録が残っており、2017年にはこちらが伝統食品として国から認定されました。名前の「ティラミス」は「私を元気づけて」という意味で、もともとは特別な日のごちそうというより、疲れたときに力をくれる家庭の菓子だったことを、よく表しています。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
元祖とされるレストランのレシピでは、材料はきわめて少数です。卵黄、グラニュー糖、マスカルポーネ、サヴォイアルディ、エスプレッソ、無糖ココアパウダーの六つで、生クリームも、泡立てた卵白も使いません。卵黄をグラニュー糖としっかり泡立てて空気を含ませることで、生クリームなしでも十分な軽さが生まれるためです。
材料(6人分):調理時間40分
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 卵黄 | 4個分 |
| グラニュー糖 | 100g |
| マスカルポーネ | 500g |
| エスプレッソ(濃いめ、冷ましておく) | 300ml |
| サヴォイアルディ | 250g(24〜30本目安) |
| 無糖ココアパウダー(仕上げ用) | 適量 |
作り方
-
エスプレッソ(300ml)を淹れ、完全に冷ましておきます。 なお、熱いままだとサヴォイアルディが煮崩れてしまうため、常温までしっかり冷ますことが大切です。
-
ボウルに卵黄(4個分)とグラニュー糖(100g)を入れ、白っぽくなり、リボン状に落ちるくらいまで泡立てます。 ポイントは、ここでしっかり空気を含ませることです。生クリームを使わない分、この工程がクリーム全体の軽さを決めます。
-
マスカルポーネ(500g)を数回に分けて加え、ゴムベラで底からすくうように、なめらかになるまで混ぜ合わせます。 なお、ここで練りすぎると分離してしまうことがあるため、粉っぽさが消えたら手を止めます。
-
サヴォイアルディを一本ずつ冷めたエスプレッソに手早くくぐらせ、表面が湿る程度で引き上げ、容器の底に隙間なく並べます。 ポイントは、浸す時間を一瞬にとどめることです。長く浸すと生地が崩れ、仕上がりが水っぽくなります。
-
サヴォイアルディの層の上にクリームの半量を広げ、表面をならします。同じ手順をもう一度繰り返し、二層に仕上げます。
-
冷蔵庫で少なくとも3時間、できれば一晩冷やし固めます。 なお、時間をおくほど層がなじみ、切り分けたときの断面がきれいに保たれます。
-
食べる直前に、無糖ココアパウダー(適量)を茶こしで全体にふります。
⚠️ やってはいけないこと
- サヴォイアルディを長く浸さない: 生地が煮崩れ、層全体が水っぽくなります。
- マスカルポーネを練りすぎない: 空気が抜けて分離し、クリームがゆるくなります。
- ココアを早くからふらない: クリームの水分を吸って黒ずむため、食べる直前にふるうのが基本です。
元祖のレシピをそのまま再現するのは、材料の入手だけがハードルです。サヴォイアルディとマスカルポーネさえ揃えば、あとの手順はとても短時間で済みます。日本のスーパーで手に入る材料での作り方を、さっそく見ていきましょう。
主な変更点
- マスカルポーネ → 輸入食材コーナーになければ、クリームチーズと生クリームで代用
- サヴォイアルディ → 輸入食材コーナーで探す。見つからなければ甘さ控えめのビスケットで代用
- エスプレッソ → 濃いめのドリップコーヒーやインスタントコーヒーで代用可
材料(6人分:調理時間40分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 卵黄 | Tuorli d'uovo | 4個分 | どこでも | — |
| グラニュー糖 | Zucchero | 100g | どこでも | — |
| マスカルポーネ | Mascarpone | 500g | 輸入食材コーナー、チーズ売り場 | クリームチーズ400gと生クリーム100ml |
| 濃いめのコーヒー(ドリップまたはインスタント) | Caffè espresso | 300ml | どこでも | — |
| サヴォイアルディ | Savoiardi | 250g | 輸入食材コーナー | 甘さ控えめのビスケット |
| 無糖ココアパウダー | Cacao amaro | 適量 | 製菓材料売り場 | — |
作り方
-
コーヒー(300ml)を濃いめに淹れ、完全に冷ましておきます。
-
ボウルに卵黄(4個分)とグラニュー糖(100g)を入れ、白っぽくもったりするまで泡立てます。 なお、ここでしっかり空気を含ませる下ごしらえは、だし巻き卵の卵液をよく溶きほぐす手間に近いものがあります。ひと手間が、仕上がりの軽さを左右します。
-
マスカルポーネ(500g、なければクリームチーズ400gと生クリーム100mlを合わせたもの)を数回に分けて加え、底からすくうように混ぜ合わせます。 クリームチーズで代用すると、本場のなめらかな丸みはやや後退し、酸味がやや前に出ますが、十分に近い仕上がりになります。
-
サヴォイアルディ(250g、なければビスケット)を一本ずつコーヒーに手早くくぐらせ、容器の底に並べます。
-
クリームの半量を重ね、同じ手順をもう一度繰り返して二層にします。冷蔵庫で少なくとも3時間、できれば一晩冷やし、食べる直前に無糖ココアパウダー(適量)を茶こしでふって仕上げます。
ヒント&コツ
- 生の卵黄が気になる場合は、卵黄と砂糖を湯せんにかけながら軽くかき混ぜ、とろみがつくまで加熱してから冷ます方法もあります。伝統のレシピは生のまま仕上げますが、これも十分においしく作れます。
- サヴォイアルディが見つからない場合はビスケットで代用できますが、コーヒーにくぐらせる時間を少し短めにすると水っぽくなりません。
- 一晩冷やすと層がよくなじみ、切り分けたときの断面がきれいになります。
スーパーの材料でも、ここまでくれば十分にティラミスです。次にヴェネト州を訪れることがあれば、トレヴィーゾの食堂で本家の一皿を頼んでみてください。あなたの台所で重ねた層の記憶と、静かに重なるはずです。
⚠️ ここで紹介するのは、コンビニで買える材料だけで手早く作る簡易版です。マスカルポーネ本来のコクや、サヴォイアルディ特有の食感とは違います。それでも、甘いものが恋しい夜には、これだけで十分な一皿になります。時間のある週末には、日常レシピ(L2)もぜひ試してみてください。
材料(1人分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| クリームチーズ(個包装) | 1〜2個 |
| インスタントコーヒー(濃いめに溶く) | 1杯分 |
| ビスケット | 4〜5枚 |
| ココアパウダー(加糖タイプ可) | 適量 |
| 砂糖 | お好みで少々 |
作り方
- インスタントコーヒーを濃いめに溶かし、冷ましておきます。
- クリームチーズを室温に戻し、フォークでとろっとなめらかになるまで練ります。好みで砂糖を少々混ぜます。
- ビスケットをコーヒーにさっとくぐらせ、容器にすき間なく並べます。
- クリームを上から広げ、もう一段ビスケットとクリームを重ねます。
- 仕上げにココアパウダーをふりかけ、冷蔵庫で少し冷やしたら、ひんやりとろける一皿の完成です。
時間のある週末には、マスカルポーネとサヴォイアルディを使った日常レシピ(L2)も、ぜひ試してみてください。もう少し本格的な甘さと軽さに、きっと驚くはずです。
よくある質問
生の卵黄を使うのが心配です。加熱してもいいですか? 本場のレシピは生の卵黄をそのまま使いますが、心配な場合は卵黄と砂糖を湯せんにかけながら軽く混ぜ、とろみがつくまで加熱してから冷ます方法もあります。食感はやや変わりますが、安心して作れます。
マスカルポーネが手に入らない場合は? クリームチーズに生クリームを少し混ぜると近い仕上がりになります。酸味はやや強く出ますが、十分に代用できます。
サヴォイアルディはどこで買えますか? 日本のスーパーではあまり扱いがなく、輸入食材店やオンラインの通販サイトで見つかります。手に入らない場合は、甘さ控えめのビスケットでも代用できます。
前日に作っておけますか?日持ちや冷凍は? むしろ前日に作るのがおすすめです。一晩冷やすと層がなじみ、味がまとまります。冷蔵庫で2〜3日ほど保存できますが、クリームの部分は冷凍すると分離しやすいため、あまりおすすめしません。
この料理に合う飲み物は? 名前の通りコーヒーとの相性がよく、食後のエスプレッソと一緒にどうぞ。お酒なら、甘口のマルサラ酒などの食後酒とも合います。

