アランチーニ
シチリア生まれの揚げ物、アランチーニ。サフラン香る米でラグーとグリーンピースを包み、二度衣でカリッと揚げます。日本のスーパーで揃う材料で、パレルモの屋台の味を自宅の台所に。

- 調理時間
- 120分
- 人数
- 4名分
- 材料費
- 約¥1800
- 難易度
- ふつう
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
アランチーニの土台になる米は、シチリア産の丸みのある品種を、洗わずに使います。表面のでんぷんを落とさないことが、握ったときに崩れない米を作る条件だからです。中心にはラグーとチーズを包み込み、衣を二度つけてから、たっぷりの油で揚げます。手間のかかる工程ですが、どれも省略できません。
材料(4人分・8個分)
米
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 米(丸みのあるイタリア産、原品種またはローマ種) | 400g |
| 野菜だし | 800ml |
| サフラン(雌しべ) | ひとつまみ |
| バター | 20g |
| 塩 | 適量 |
ラグー
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 牛豚合い挽き肉 | 300g |
| 玉ねぎ | 1/2個 |
| にんじん | 1/4本 |
| セロリ | 1/4本 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ2 |
| 赤ワイン | 50ml |
| トマトピューレ | 200g |
| グリーンピース | 80g |
| 塩・黒胡椒 | 適量 |
仕上げ
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| カチョカヴァッロ(またはプロヴォラ) | 100g |
| 薄力粉 | 100g |
| 水 | 100ml |
| パン粉(粗め) | 200g |
| 揚げ油 | 適量 |
作り方
1. 米を炊く
米(400g)は洗わずに、サフラン(ひとつまみ)を溶かした野菜だし(800ml)、バター(20g)、塩とともに鍋に入れ、蓋をして中火にかけます。沸騰したら弱火にし、だしを吸いきるまで13分ほど炊きます。
2. 米を冷やす
炊き上がった米を平らなバットに広げ、粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間以上、完全に冷やし固めます。
なお、温かいままの米は成形の途中で崩れてしまいます。この冷却が、アランチーニの土台を作る最初の関門です。
3. ラグーを作る
玉ねぎ・にんじん・セロリ(各分量)をみじん切りにし、オリーブオイル(大さじ2)で中火にかけ、しんなりするまで炒めます。合い挽き肉(300g)を加えて色が変わるまで炒め、赤ワイン(50ml)を加えてアルコール分を飛ばします。トマトピューレ(200g)と塩・黒胡椒を加え、弱火で20分ほど煮詰めます。仕上げにグリーンピース(80g)を加え、さらに5分ほど煮て火を止め、冷ましておきます。
4. 成形する
冷やした米を1個あたり100gほど手のひらにのせ、中央に指でくぼみを作ります。冷ましたラグー大さじ1と、角切りにしたカチョカヴァッロ(1個あたり10gほど)を詰め、まわりの米で覆いながら閉じ、丸く、あるいは先を少しすぼめた円錐形に握ります。
5. 衣をつける
薄力粉(100g)を水(100ml)で溶いた衣にくぐらせ、パン粉(200g)を全体にまぶします。この工程を二度繰り返すと、揚げている間に衣が破れにくくなります。
6. 休ませる
バットに並べ、冷蔵庫で30分ほど休ませます。
7. 揚げる
揚げ油を170℃に熱し、アランチーニを完全に沈めて、きつね色になるまで7分ほど揚げます。油を切って、少し置いてからいただきます。
⚠️ やってはいけないこと
米を洗ってから使う 表面のでんぷんを洗い流すと、米粒同士が結びつかず、成形の時点で崩れてしまいます。
水分の多いフレッシュタイプのチーズを詰める とろけやすい反面、水分を多く含むチーズを使うと、揚げている間に水分が膨張して衣が割れる原因になります。低水分で、しっかりコクのあるタイプを選ぶことが崩れを防ぎます。
米が温かいうちに成形する 温かい米は手にべったりと張りつき、形が保てません。芯まで冷えていることが、きれいな丸みを作る条件です。
衣を一度だけで済ませる 一度のパン粉づけでは薄すぎて、揚げている間に破れて中の具が油に流れ出てしまいます。
シチリアの屋台の味は、日本のスーパーで揃う材料でも十分に再現できます。米は洗わずに炊いて冷やすこと、チーズは水分の少ないタイプを選ぶこと——この二つの原則さえ守れば、あとは家庭の台所にある道具で作れる揚げ物です。
主な変更点
| 項目 | L1(本格) | L2(日本での代用) | 妥協点 |
|---|---|---|---|
| 米 | イタリア産の丸みのある品種 | 国産の白米(コシヒカリなど) | 粒の形や粘りが近く、むしろ扱いやすい |
| チーズ | カチョカヴァッロ | とろけるチーズ(ピザ用シュレッドなど、低水分タイプ) | 熟成のコクはやや控えめだが、揚げても崩れにくい性質は保てる |
| だし | 野菜だし(自家製) | 市販の野菜だしの素 | 風味の差はごくわずか |
| ラグーの野菜 | 玉ねぎ・にんじん・セロリを手切り | 同じ材料をスーパーで購入 | 変化なし |
材料(4人分・8個分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 米 | riso | 400g | どこでも | 国産米そのままでよい |
| サフラン | zafferano | ひとつまみ | 輸入食材店・製菓材料売り場 | なし(省略すると色も香りも変わる) |
| 野菜だしの素 | brodo vegetale | 800ml分 | どこでも | 固形ブイヨンで代用可 |
| バター | burro | 20g | どこでも | — |
| 合い挽き肉 | carne macinata | 300g | どこでも | — |
| 玉ねぎ・にんじん・セロリ | soffritto | 各適量 | どこでも | — |
| 赤ワイン | vino rosso | 50ml | 酒コーナー | 省略可(風味はやや単調に) |
| トマト缶(カット) | pomodoro | 200g | どこでも | — |
| 冷凍グリーンピース | piselli | 80g | 冷凍食品コーナー | — |
| とろけるチーズ(低水分タイプ) | caciocavallo | 100g | チーズ売り場 | プロセスチーズでも代用可 |
| 薄力粉 | farina | 100g | どこでも | — |
| パン粉 | pangrattato | 200g | どこでも | — |
| 揚げ油 | olio di semi | 適量 | どこでも | — |
作り方
-
米(400g)を洗わずに、市販の野菜だしの素で作った野菜だし(800ml)、サフラン(ひとつまみ)、バター(20g)とともに鍋で炊き、だしを吸いきるまで13分ほど加熱します。
-
炊き上がった米をバットに広げ、冷蔵庫で1時間以上しっかり冷やします。
なお、米と具を一緒に炊き込んでから握るのではなく、炊いた米に具を後から包み込むこの作り方は、俵形のおにぎりに具を詰める感覚に近いものがあります。
-
玉ねぎ・にんじん・セロリをみじん切りにして炒め、合い挽き肉(300g)を加えて炒め、赤ワイン(50ml)を飛ばしてからトマト缶(200g)を加え、弱火で20分ほど煮詰めます。仕上げに冷凍グリーンピース(80g)を凍ったまま加え、5分煮て冷まします。
-
冷やした米を1個100gほど手に取り、くぼみを作ってラグーととろけるチーズを詰め、まわりを覆って丸く握ります。
-
薄力粉(100g)を水(100ml)で溶いた衣にくぐらせ、パン粉(200g)を二度まぶします。
なお、衣をつけてから揚げるまでの流れは、コロッケを作るときとほとんど同じです。冷めた具材を米で包み、粉・水溶き・パン粉の順で衣をつける工程が、そのまま当てはまります。
-
冷蔵庫で30分休ませたあと、170℃の揚げ油できつね色になるまで7分ほど揚げます。
ヒント&コツ
- ラグーは多めに作って冷凍しておくと、次に作るときは米を炊いて包むだけで済みます。
- とろけるチーズは、揚げる直前まで冷やしておくと、成形の途中で溶け出しにくくなります。
- 米を計量カップで同じ分量ずつ取り分けておくと、大きさが揃い、揚げ上がりのムラが減ります。
スーパーの材料でも、ここまでくればアランチーニの核心――サフランの香る米と、とろけるチーズを抱いたラグー――は十分に再現できます。次にシチリアを訪れることがあれば、街角の揚げ物屋の紙袋を開けてみてください。あなたの台所で握った重みと、静かに重なるはずです。
⚠️ ここで紹介するのは、コンビニの材料だけで作る簡易版です。本来の味とは違います——それでも、疲れて帰った夜に、揚げたての一皿があることの価値は変わりません。時間のある週末には、日常レシピ(L2)もぜひ試してみてください。
材料(1人分)
| 材料 | 目安 |
|---|---|
| 温かいご飯(パックご飯など) | 1パック |
| レトルトのミートソースまたはドライカレーの素 | 大さじ3ほど |
| とろけるチーズ(個包装) | 1〜2個分 |
| 小麦粉・水 | 各適量 |
| パン粉 | 適量(なければ小麦粉の衣だけでも可) |
| 揚げ油 | 適量 |
作り方
-
温かいご飯にレトルトソースとチーズを少量混ぜ込み、俵形ににぎにぎと握ります。
-
小麦粉を水で溶いた衣にとろりとくぐらせ、パン粉をまぶします(パン粉がなければ、衣だけでも揚げられます)。
-
170℃ほどに熱した油で、こんがりきつね色になるまでじっくり揚げます。
-
油をしっかり切って、熱々のうちにどうぞ。
疲れて帰った夜のご飯にも、揚げたてはやっぱりうれしいものです。時間のある週末には、日常レシピ(L2)でサフランとラグーの香りも味わってみてください。きっと驚くはずです。
よくある質問
Q. 米を洗ってから使ってはいけないのですか? A. 表面のでんぷんが米粒を結びつける役割を果たしているため、洗うとまとまりにくくなります。炊く前は洗わずに使ってください。
Q. 揚げずにオーブンで焼くことはできますか? A. 焼くと油の使用量は減りますが、パン粉のカリッとした食感やジューシーさはかなり変わり、別の料理に近づきます。本来の食感を楽しみたい場合は、揚げることをおすすめします。
Q. カチョカヴァッロが手に入らない場合は? A. 低水分タイプのとろけるチーズ(ピザ用シュレッドなど)で代用できます。熟成したコクは控えめになりますが、揚げても崩れにくい性質は保てます。
Q. サフランは省略できますか? A. 省略すると米の色も香りも変わり、別の料理に近づいてしまいます。少量でも十分に香りが立つので、できれば使ってください。
Q. 冷凍や作り置きはできますか? A. 衣をつける前の状態、または揚げたあとの状態、どちらでも冷凍できます。凍ったまま少し低めの温度でじっくり揚げると、中まで温まります。
Q. アランチーノとアランチーナ、結局どちらが正しいのですか? A. どちらも間違いではありません。カターニアでは男性名詞の「アランチーノ」、パレルモでは女性名詞の「アランチーナ」が使われ、形も前者が円錐形、後者が丸形と伝えられています。地域による呼び方の違いとして、今も共存しています。
関連レシピ

カンノーロのレシピ|シチリアが生んだ揚げ菓子
パリッと揚げた生地に、水切りした羊乳リコッタをたっぷり詰めるシチリアの伝統菓子。日本のスーパーで手に入る材料と手作りの型で、揚げたてのサクサク感を再現します。

カポナータのレシピ|シチリアの夏の甘酸っぱい一皿
ナスを揚げてオリーブとケッパーを甘酢で和えるシチリアの定番料理。日本のスーパーで揃う材料で、一晩置くだけで濃厚なアグロドルチェに仕上がります。

パスタ・アッラ・ノルマのレシピ|シチリア本場の茄子パスタ
なすをたっぷりの油で揚げ、トマトソースと合わせ、リコッタ・サラータを削る。日本のスーパーで手に入る材料で作るシチリア生まれのパスタ・アッラ・ノルマのレシピです。