トルテッリーニ・イン・ブロード
ボローニャで公証人立会いのもと配合が定められた、豚ロースと生ハム、モルタデッラを詰めたトルテッリーニ。日本のスーパーと輸入食材店で揃う材料で、牛肉と鶏でとった澄んだブロードにひたひたと浮かぶ、あの一皿に仕上げます。

- 調理時間
- 240分
- 人数
- 4名分
- 材料費
- 約¥2800
- 難易度
- 本格的

3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
トルテッリーニの詰め物は、豚ロース、生ハム、モルタデッラ、パルミジャーノ・レッジャーノの四つが軸です。これを白く柔らかいチーズと青菜に置き換えると、同じボローニャで生まれた別のパスタになってしまいます。生地に水を加えず、粉と卵だけで仕込む点も特徴で、できるだけ薄く伸ばすほど、噛んだときに詰め物の存在感が際立ちます。仕上げは牛肉と雌鶏でとった澄んだブロードで、クリームソースで和える食べ方はこの料理の伝統的な形ではありません。
材料(4人分)
生地
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 薄力粉(00粉相当) | 200g |
| 卵 | 2個 |
詰め物
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 豚ロース肉 | 100g |
| 生ハム | 100g |
| モルタデッラ・ディ・ボローニャ | 100g |
| パルミジャーノ・レッジャーノ(すりおろし) | 150g |
| 卵 | 1個 |
| ナツメグ | 少々 |
| バター(豚ロースを炒める用) | 大さじ1 |
ブロード
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 牛肉(すね肉など、ブロード用の部位) | 1kg |
| 雌鶏(できれば親鶏) | 半羽 |
| セロリ | 1本 |
| にんじん | 1本 |
| 玉ねぎ | 1個 |
| 塩 | 適量 |
| 水 | 3〜3.5L程度(具材がかぶる量) |
作り方
1. ブロードを仕込む
鍋に牛肉(1kg)、雌鶏(半羽)、セロリ(1本)、にんじん(1本)、玉ねぎ(1個)を入れ、具材がかぶるくらいの水(3〜3.5L程度)を注ぎます。強火にかけ、沸騰直前で弱火に落とし、浮いてきたアクをこまめにすくいながら3時間ほど静かに煮ます。
なお、ブロードは前日に仕込んでおくと、冷えて表面に固まった脂を簡単に取り除けます。
2. 豚ロースを炒める
豚ロース肉(100g)を小さく切り、バター(大さじ1)でしっかり色づくまで炒め、粗熱を取ります。
3. 詰め物を仕込む
粗熱が取れた豚ロース、生ハム(100g)、モルタデッラ(100g)を細かく刻み、パルミジャーノ・レッジャーノ(150g)、卵(1個)、ナツメグ(少々)を加えてよく練り混ぜます。冷蔵庫で最低12時間、できれば24時間ほど休ませ、味をなじませます。
4. 生地を仕込む
薄力粉(200g)を台に山にし、中央にくぼみを作って卵(2個)を割り入れ、フォークで少しずつ粉と混ぜ合わせながらまとめます。10分ほど台の上でこね、なめらかで弾力のある生地にします。
5. 生地を休ませる
ラップで包み、常温で30分ほど休ませます。
6. 生地を薄くのばして切る
生地を、向こうが透けて見えるくらい薄くのばし、3cm四方の正方形に切り分けます。
7. 詰めて閉じる
正方形の中央に詰め物をひとつまみほどのせ、対角線で折って三角形にし、縁をしっかり押さえて閉じます。三角形の底辺の両端を、小指に巻きつけるように重ね、指を軽く押さえてつまんでとめます。
なお、この巻きつける指は、ボローニャの伝統では小指です。モデナでは人差し指に巻きつけ、四角形もひとまわり小さく作ります。
8. ブロードを漉す
煮上がったブロードを目の細かいざるで漉し、塩で味を調えます。
9. 仕上げる
ブロードを沸かし、トルテッリーニを入れて浮き上がってから1〜2分ほど煮ます。器にブロードごと盛り、好みでパルミジャーノ・レッジャーノを添えます。
⚠️ やってはいけないこと
詰め物を白く柔らかいチーズと青菜に置き換える それは同じボローニャで生まれた別のパスタの詰め物です。豚ロース、生ハム、モルタデッラ、パルミジャーノ・レッジャーノという配合こそがトルテッリーニの核心で、混同すると別の料理になってしまいます。
生ハムやモルタデッラに火を通す 詰め物のうち火を通すのは豚ロースだけです。生ハムとモルタデッラは生のまま刻んで加えることで、それぞれの塩気と風味がそのまま残ります。
ブロードを省いてクリームソースで和える 「イン・ブロード」という名前が示す通り、この料理は牛肉と雌鶏の澄んだブロードとともに食べるのが伝統的な形です。クリームソースで和える食べ方はレストランでよく見かけますが、伝統的な形ではありません。
詰め物が温かいまま生地を閉じる 熱が生地を柔らかくしすぎ、閉じ目が崩れやすくなります。冷蔵庫でしっかり休ませてから包むことが、きれいな形を保つ鍵です。
モルタデッラだけは輸入食材店か通販が必要ですが、それ以外は日本のスーパーで十分に揃います。手間のかかる詰め物パスタですが、休日に少しずつ進めれば、家庭でもあの小さな指輪の形まで再現できます。
主な変更点
| 項目 | L1(本格) | L2(日本での代用) | 妥協点 |
|---|---|---|---|
| モルタデッラ | イタリア産モルタデッラ・ディ・ボローニャ | 輸入食材店のモルタデッラ | 入手先が変わるだけで、味わいはほぼ変わらない |
| ブロード用の鶏 | 放し飼いの雌鶏(できれば親鶏) | 骨付きの若鶏肉(スーパー) | ブロードの深みとコクがやや軽くなる |
| 詰め物を休ませる時間 | 最低12時間、できれば24時間冷蔵 | 30分〜1時間冷蔵 | 味のなじみは浅くなるが、成形はしやすくなる |
| パルミジャーノ・レッジャーノ | イタリア産、輸入食材コーナー | 輸入食材コーナー/チーズ売り場。手に入らなければ粉チーズ | 粉チーズだと香りがかなり平坦になる |
材料(4人分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 薄力粉 | farina | 200g | どこでも | — |
| 卵(生地用) | uova | 2個 | どこでも | — |
| 豚ロース肉 | lombo di maiale | 100g | 精肉コーナー | — |
| 生ハム | prosciutto crudo | 100g | 輸入食材コーナー | — |
| モルタデッラ | mortadella | 100g | 輸入食材店 | なし(他の加工肉では風味の軸が大きく変わる) |
| パルミジャーノ・レッジャーノ(すりおろし) | parmigiano | 150g | 輸入食材コーナー/チーズ売り場 | 粉チーズ(パルメザン) |
| 卵(詰め物用) | uovo | 1個 | どこでも | — |
| ナツメグ | noce moscata | 少々 | スパイス売り場 | — |
| バター | burro | 大さじ1 | どこでも | — |
| 牛肉(すね肉など) | manzo | 1kg | 精肉コーナー | — |
| 若鶏の骨付き肉(半羽相当) | gallina | 半羽相当 | 精肉コーナー | 親鶏(専門店にあれば風味が近づく) |
| セロリ・にんじん・玉ねぎ | sedano・carota・cipolla | 各1 | どこでも | — |
| 塩 | sale | 適量 | どこでも | — |
作り方
-
鍋に牛肉(1kg)、骨付きの若鶏肉(半羽相当)、セロリ、にんじん、玉ねぎ(各1)を入れ、具材がかぶるくらいの水(3〜3.5L程度)を注ぎます。強火にかけ、沸騰直前で弱火に落とし、アクをこまめにすくいながら3時間ほど静かに煮ます。
なお、ブロードは前日に仕込んでおくと、冷えて表面に固まった脂を簡単に取り除けます。
-
豚ロース肉(100g)を小さく切り、バター(大さじ1)でしっかり色づくまで炒め、粗熱を取ります。
-
粗熱が取れた豚ロース、生ハム(100g)、モルタデッラ(100g)を細かく刻み、パルミジャーノ・レッジャーノ(150g)、卵1個、ナツメグ少々を加えてよく練り混ぜます。冷蔵庫で30分〜1時間ほど休ませます。
なお、詰め物を冷やしてから包む感覚は、餃子の具を先に冷ましてから包む工程に近いものがあります。生地が破れにくくなります。
-
薄力粉(200g)を台に山にし、中央に卵2個を割り入れ、フォークで少しずつ混ぜ合わせながらまとめます。10分ほどこね、常温で30分ほど休ませます。
-
生地を、向こうが透けて見えるくらい薄くのばし、3cm四方に切り分けます。
-
正方形の中央に詰め物をひとつまみほどのせ、対角線で折って三角形にし、縁をしっかり押さえて閉じます。底辺の両端を、小指に巻きつけるように重ね、軽くつまんでとめます。
なお、この巻きつける動きは、餃子のひだを寄せる工程よりも一手間多いぶん、最初の数個は練習のつもりで進めると安心です。
-
煮上がったブロードを目の細かいざるで漉し、塩で味を調えます。
-
ブロードを沸かし、トルテッリーニを入れて浮き上がってから1〜2分ほど煮ます。器にブロードごと盛り、好みでパルミジャーノ・レッジャーノを添えます。
ヒント&コツ
- 詰め物は前日に仕込んでおくと、当日は生地作りと成形に集中できます。
- 一度に食べない分は、成形した状態でバットに並べて凍らせ、固まってから袋に移すと便利です。凍ったままブロードでゆでられます。
- ブロードも多めに仕込んで、使わない分は冷凍しておくと、次に食べたいときの支度がぐっと楽になります。
輸入食材店の材料でも、豚ロースと生ハム、モルタデッラが層になった詰め物と、小指に巻きつけて閉じるあの形は十分に再現できます。次にボローニャを訪れることがあれば、食堂の湯気の向こうに、同じ小さな指輪が並んでいるのを見つけてみてください。台所で一つずつ数えた指の記憶と、静かに重なるはずです。
よくある質問
Q. 詰め物を白く柔らかいチーズと青菜に替えてもいいですか? A. それは同じボローニャで生まれた別のパスタの詰め物です。トルテッリーニでは豚ロース、生ハム、モルタデッラ、パルミジャーノ・レッジャーノの配合が核になるので、混同すると別の料理になってしまいます。
Q. どのくらい日持ちしますか?冷凍できますか? A. 成形したものはバットに並べて凍らせてから袋に移すと、凍ったままブロードでゆでられます。詰め物だけなら冷蔵で1日ほど、生地に包んだ状態なら冷蔵で半日ほどを目安にしてください。
Q. 前日に作っておけますか? A. ブロードと詰め物は前日に仕込んでおくのがむしろおすすめです。ブロードは冷やすと脂が固まって取り除きやすくなりますし、詰め物も一晩休ませたほうが味がなじみます。
Q. モルタデッラが手に入らない場合は? A. 代わりが利く食材ではありません。輸入食材店か通販で探すのが確実です。他の加工肉で代用すると、詰め物の風味の軸が大きく変わってしまいます。
Q. どのくらいの数ができますか? A. この分量でおよそ150〜160個ほどでき、4人分のブロード仕立てになります。
Q. 子供と一緒に作れますか? A. 生地をこねたり詰め物を混ぜたりする工程は子供でも楽しめます。指に巻きつけて閉じる工程は指先の細かい動きが必要なので、大人が近くで見ながら挑戦するとよいでしょう。
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