ボローニャ風ラザニア
本場ボローニャのラザニアは、ラグーとベシャメルをほうれん草の緑の生地に重ねて焼く一皿です。ホワイトソースの手作りから、乾燥シートと家庭のオーブンで作る日本向けの手順、ミートソースとの違いまで紹介します。
公開日
- 調理時間
- 90分
- 人数
- 4名分
- 材料費
- 約¥3000
- 難易度
- ふつう
- カロリー(1人分)
- 約980kcal
この料理に合うワイン
Cantina ワインの早見表 →ロマーニャ・ サンジョヴェーゼ
ルビー色で、すみれを思わせる香り。軽い渋みとほろ苦い後味の赤です。
- 産地
- エミリア・ロマーニャ州
- ぶどう品種
- サンジョヴェーゼ
- ドレイ・
ドナ・ テヌータ・ ラ・ パラッツァ「ノットゥルノ」Drei Donà Tenuta La Palazza Notturno (Predappio) - ヴィッラ・
ヴェンティ「プリモ・ セーニョ」Villa Venti Primo Segno (Superiore) - ウンベルト・
チェザーリ「サンジョヴェーゼ・ リゼルヴァ」Umberto Cesari Sangiovese Riserva
ノットゥルノ
木イチゴとチェリーの甘酸っぱい香り。酸とミネラルがあり、余韻の長い赤です。
- ぶどう品種
- サンジョヴェーゼ
- 輸入元
- 株式会社モトックス
ラグーとベシャメルの濃厚な層を、サンジョヴェーゼの酸味と軽い渋みが引き締め、トマトの風味にも寄り添います。
お酒は20歳になってから。
この料理について
ボローニャの日曜の食卓に、オーブンから出したばかりの大きな耐熱皿が置かれます。表面はこんがりと色づき、切り分けると、ラグーとベシャメル(ホワイトソース)の層が静かにあらわれます。ラザニアは、手間のかかる三つの仕込みが一枚の皿に重なる料理です。だからこそ、日曜の台所で過ごした時間が、そのまま味になります。今日はその作り方を、なぜそうするのかも含めて、いっしょに見ていきましょう。
ラザニアの歴史は古く、中世の料理書にはすでに、チーズだけで重ねる原型が登場します。ベシャメルが加わるのは18世紀ごろとされ、ナポリ風、エミリア風と、土地ごとに別の姿に育ってきました。ボローニャのラザニアは、ほうれん草を練り込んだ緑の生地、ラグー、ベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノという四つの素材で組み立てます。2003年には、イタリア料理アカデミーのボローニャ支部がこの配合を公式なレシピと認定し、ボローニャ商工会議所に登録しました。
ラグーは、タリアテッレのボロネーゼと同じものを使います。1982年に登録され、2023年に改められた、あのラグーです。手打ちの生地から作る本格版は、ラグーを除いても3時間ほどかかります。日本のスーパーの材料で作る日常版は、ラグーを仕込んであれば1時間半ほどで焼き上がります。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
ボローニャのラザニアの骨格は、ほうれん草を練り込んだ緑の生地、ラグー、ベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノの四つです。ラグーはたっぷり、ベシャメルは薄く重ねるのが、この配合の特徴です。生地は手で薄く伸ばして下茹でし、ソースと交互に、層を重ねていきます。
材料(4人分・約20×25cm、深さ6cm以上の耐熱容器)
| 材料 | 量 |
|---|---|
| 生地(緑のラザニア) | |
| 00粉(タイプ00の小麦粉) | 350g |
| 卵 | 1個半(溶いて約75g) |
| ほうれん草(茹でて水気を絞ったもの) | 175g(生で約350g) |
| ラグー | |
| ラグー(タリアテッレのボロネーゼ L1のもの) | 500g |
| ベシャメル | |
| 牛乳 | 500ml |
| 00粉 | 50g |
| バター | 50g |
| 塩 | 少々 |
| ナツメグ | 適量 |
| 重ねる・仕上げ | |
| パルミジャーノ・レッジャーノ(すりおろし) | 200g |
| バター(層と四隅にのせる分) | 50g |
| バター(容器に塗る分) | 適量 |
| 塩(生地を茹でる湯用) | 適量 |
作り方
-
ほうれん草(生で約350g)をたっぷりの湯でさっと茹で、冷水にとって水気をしっかり絞ります。細かく刻み(絞った状態で175g)、もう一度強く絞ります。
なお、水気が残ると生地がべたつきます。絞るのは、少しやりすぎるくらいがちょうどいいところです。
-
台の上に00粉(350g)を山にして中央をくぼませ、溶いた卵(約75g)と刻んだほうれん草(175g)を入れます。フォークで少しずつ粉を崩しながら混ぜ、手でひとかたまりになるまでこねます。ラップに包み、室温で30分ほど休ませます。
なお、ほうれん草の水分で、生地のやわらかさは毎回少し変わります。べたつくときは打ち粉を、かたいときは霧吹きの水を、ほんの少しずつ足して整えます。
-
生地を麺棒で薄く伸ばし、15×10cmほどの長方形(容器より少し小さめ)に切ります。
-
塩を入れた湯をたっぷり沸かし、生地を数枚ずつ入れます。浮き上がってきたらすぐに取り出し、冷水にとって、清潔な布の上で水気を拭きます。
-
鍋にバター(50g)を溶かし、00粉(50g)を加えて、焦がさないように弱火で1〜2分炒めます。牛乳(500ml)を少しずつ加えてのばし、混ぜ続けながら、とろみがつくまで10分ほど煮ます。塩(少々)とナツメグ(適量)で調えます。
なお、牛乳を一度に入れると、粉がダマになりやすくなります。スプーンの背にうっすら残るくらいのとろみが、ちょうどいい目安です。
-
容器の底と内側にバター(適量)を塗り、ラグーとベシャメルを少しずつ薄く敷きます。生地を一段並べたら、ベシャメルをごく薄く、ラグーをたっぷりと広げ、バターを小さくちぎって散らし、パルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりかけます。これを繰り返して重ねていきます。
ポイントは、ラグーとベシャメルを混ぜずに、層ごとに別々に重ねることです。生地には竹串で3〜4か所穴をあけておくと、焼いている間に空気がたまって浮くのを防げます。
-
層は6段以上に重ねます。最後は生地で覆い、その上にラグー、少量のベシャメル、バター、パルミジャーノ・レッジャーノ(合計200g)をのせ、容器の四隅にも、50gの残りのバターを小さくちぎって置きます。
-
180℃に予熱したオーブンで25〜30分、表面に焼き色がついて縁がふつふつとしてくるまで焼きます。取り出して5分ほど休ませてから、切り分けます。
なお、焼きたてをすぐに切ると、層が崩れてソースが流れ出してしまいます。5分の休みは、層を落ち着かせるための時間です。
⚠️ やってはいけないこと
- ラグーとベシャメルを混ぜてから重ねない: 層ごとに別々に重ねることで、断面にそれぞれの色と味がくっきりと残ります。
- ベシャメルを厚く塗らない: この配合の主役はラグーで、ベシャメルは層をつなぐ薄いソースです。厚くすると、全体が重たくなります。
- 生地を茹ですぎない: 浮き上がったらすぐに引き上げます。焼いている間にソースの水分を吸って、さらにやわらかくなるからです。
- フレッシュチーズを重ねない: ボローニャの配合は、パルミジャーノ・レッジャーノだけで十分なコクを出します。とろけるチーズを重ねる南の土地の作り方とは、別の料理です。
日本のスーパーでも、ラザニアは十分に作れます。手打ちの緑の生地の代わりに乾燥のラザニアシート、パンチェッタの代わりに豚バラ薄切り肉を使い、ラグーはタリアテッレのボロネーゼで仕込んだものをそのまま重ねます。ベシャメル(ホワイトソース)は、シチューのルウを作るときと同じ要領で、鍋ひとつで手作りできます。日本で手に入る材料で、本場のラザニアにもひけを取らない一皿に仕上がります。
主な変更点
- 手打ちの緑の生地 → 乾燥ラザニアシート(輸入食材コーナーや通販で手に入ります。ほうれん草の緑としなやかさはなくなり、少し厚みのある食感になります。厚いぶん、重ねる段は3〜4段で十分です)
- パンチェッタ(ラグー用) → 豚バラ薄切り肉(燻製でないもの)。イタリア産の豚肉加工品は、2026年秋の時点で輸入が止まっています。燻製でない豚バラなら、風味はほぼ変わりません
- パルミジャーノ・レッジャーノ → 粉チーズ(パルメザン)。香りは単調になり、塩気も強いので、量を半分の100gにして、ベシャメルとラグーの塩は控えめにします
- 00粉 → 薄力粉。ベシャメルに使うぶんには、ほとんど差は出ません
材料(4人分・約20×25cmの耐熱容器)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| ラグー用(タリアテッレのボロネーゼと同じ分量) | ||||
| 牛ひき肉(粗びき) | manzo macinato | 300g | 精肉コーナー | — |
| 豚バラ薄切り肉 | pancetta | 100g | 精肉コーナー | ベーコンでも可(燻製の香りが加わる) |
| 玉ねぎ | cipolla | 60g | 野菜売り場 | — |
| にんじん | carota | 60g | 野菜売り場 | — |
| セロリ | sedano | 60g | 野菜売り場 | — |
| 赤ワインまたは白ワイン | vino | 100ml | 酒コーナー | 省略可(酸味がやや弱くなる) |
| トマト缶(カット) | passata di pomodoro | 200g | 缶詰コーナー | パッサータでも可 |
| トマトペースト | concentrato di pomodoro | 大さじ1 | 輸入食材コーナー、チューブ入りでも可 | — |
| 顆粒コンソメ+湯 | brodo | 400〜600ml程度 | どこでも | — |
| オリーブオイル | olio extravergine | 大さじ2 | どこでも | — |
| 塩・黒胡椒 | sale e pepe | 各適量 | どこでも | — |
| ベシャメル用 | ||||
| 牛乳 | latte intero | 500ml | どこでも | — |
| 薄力粉 | farina 00 | 50g | どこでも | — |
| バター | burro | 50g | 乳製品売り場 | — |
| 塩・ナツメグ | sale e noce moscata | 少々・適量 | どこでも | ナツメグは省略可(香りがやや単調になる) |
| 重ねる・仕上げ用 | ||||
| 乾燥ラザニアシート | lasagne secche | 約200g(3〜4段分) | 輸入食材コーナー、通販 | — |
| 粉チーズ(パルメザン) | parmigiano reggiano | 100g | 乳製品売り場 | パルミジャーノ・レッジャーノを削ったもの(より本場に近づく) |
| バター(層にのせる分・容器に塗る分) | burro | 60g | 乳製品売り場 | — |
| 塩(シートを茹でる場合の湯用) | sale | 適量 | どこでも | — |
作り方
-
ラグーを作ります。材料は上の表の「ラグー用」で、作り方はタリアテッレのボロネーゼの日常レシピの手順1〜7と同じです。弱火で2〜3時間煮込むので、前日までに仕込んでおくと、当日は重ねて焼くだけになります。
なお、このラグーは冷蔵で3日ほど持ちます。週末の前に仕込んでおけば、ラザニアの当日は気持ちにも余裕が生まれます。
-
ベシャメルを作ります。鍋にバター(50g)を溶かし、薄力粉(50g)を加えて、焦がさないように弱火で1〜2分炒めます。牛乳(500ml)を少しずつ加えてのばし、混ぜ続けながら、とろみがつくまで5〜10分ほど煮ます。塩(少々)とナツメグ(適量)で調えます。
シチューのルウを手作りするときと同じ要領です。牛乳を一度に入れると粉がダマになるので、少しずつ加えます。スプーンの背にうっすら残るくらいのとろみが、ちょうどいい目安です。
-
ラザニアシート(約200g)を用意します。下茹で不要のタイプは、そのまま使います。茹でるタイプは、塩を入れた湯で、表示の時間より少し短めに茹で、冷水にとって水気を拭きます。
-
耐熱容器(約20×25cm)にバター(容器に塗る分)を塗り、底にラグーとベシャメルを薄く敷きます。シートを並べ、ベシャメルを薄く、ラグーをたっぷり広げ、バターを小さくちぎって散らし、粉チーズをかけます。これを繰り返して、シートを3〜4段に重ねます。
ラグーとベシャメルは混ぜずに、層ごとに別々に重ねます。下茹で不要のタイプは焼きながら水分を吸うので、ソースは少しゆるめでも大丈夫です。
-
最後にシートをのせ、残りのラグー、ベシャメル、粉チーズ(合計100g)、バター(層にのせる分の残り)をのせます。180℃に予熱したオーブンで30〜40分、表面にこんがり焼き色がつくまで焼きます。竹串を刺して、すっと通れば焼き上がりです。
グラタンと同じ要領で、表面の焼き色が目安になります。焼き色が先につきすぎるときは、アルミホイルをかぶせて続けます。
-
オーブンから出して、5分ほど休ませてから切り分けます。
焼きたてをすぐに切ると、層が崩れてソースが流れ出てしまいます。
ヒント&コツ
- 乾燥シートは、パッケージの表示(茹でる/下茹で不要)を必ず確認してください。茹でるタイプをそのまま重ねると、焼き上がりに芯が残ることがあります。
- ベシャメルの代わりに、市販のホワイトソース缶を使うこともできます。とろみが強いので、牛乳で少しのばして使います。バターと牛乳の風味は、手作りより軽くなります。
- 耐熱容器が大きいときは、ラグーとベシャメルの量を同じ比率で増やして、層が薄くなりすぎないようにします。
スーパーの材料でも、ラグーとベシャメルを重ねて焼けば、ちゃんとラザニアになります。次にボローニャを訪れることがあれば、日曜の食堂で、同じ一皿を頼んでみてください。ひと切れのなかに、その土地の時間が層になって残っているはずです。
よくある質問
ホワイトソースとベシャメルソースは同じですか?
日本の家庭でホワイトソースと呼ばれるものの多くは、バターと小麦粉を炒めて牛乳でのばす、ベシャメルと同じ作り方のソースです。市販の缶詰などには、バターの代わりに別の油脂を使ったものや、とろみの強いものもあります。ラザニアには手作りのベシャメルのほうが、バターと牛乳の風味がまっすぐに出ます。
ラザニアシートは茹でる必要がありますか?
パッケージの表示に従ってください。下茹で不要と書かれたタイプは、そのままソースと重ねて焼けます。茹でるタイプは、表示より少し短めに茹で、冷水にとって水気を拭いてから重ねます。
前日に作っておけますか?冷凍はできますか?
ラグーとベシャメルは粗熱を取ってから重ね、焼く前の状態でラップをかけて、冷蔵庫で一晩置けます。冷蔵庫から出してすぐに焼くと中が冷たいので、焼き時間を10分ほど延ばしてください。焼いたあとは、粗熱が取れたら1時間以内を目安に冷蔵庫に入れ、冷蔵で2日以内に食べきります。温め直すときは、中心まで十分に熱くなるよう加熱してください。冷凍する場合は、1人分ずつラップで包み、1か月ほどを目安に保存できます。
日本のミートソースのラザニアとの違いは何ですか?
日本でよく見るラザニアは、ケチャップなどで甘みを強めたミートソースとホワイトソースを重ね、とろけるチーズをのせるものが多いようです。ボローニャ風は、じっくり煮込んだラグーとベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノだけで組み立て、本来は生地にもほうれん草を練り込みます。トマトの酸味や甘みではなく、肉とチーズのコクを味わう一皿です。
子供でも食べられますか?
ラグーに使う赤ワインは、煮込むうちにアルコールがほとんど飛びます。気になる場合は、日常レシピ(L2)に書いたとおり、ワインを省いて作れます。焼きたては中がとても熱いので、少し休ませてから取り分けてください。
代用食材ガイド
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