タリアテッレのボロネーゼ
本場ボローニャのボロネーゼは、スパゲッティではなくタリアテッレに合わせます。日本のミートソースとは何が違うのか、日本のスーパーで揃う材料でじっくり煮込み、コクのある濃厚なラグーに仕上げるコツまで紹介します。
公開日

- 調理時間
- 180分
- 人数
- 4名分
- 材料費
- 約¥2200
- 難易度
- ふつう
この料理に合うワイン
Cantina ワインの早見表 →ランブルスコ・ グラスパロッサ・ ディ・ カステルヴェトロ
濃いルビー色で、チェリーの果実味と軽い渋みのある微発泡です。
- 産地
- エミリア・ロマーニャ州
- ぶどう品種
- ランブルスコ・グラスパロッサ
- カビッキオーリ「コル・
サッソーゾ」Cavicchioli Col Sassoso - カンティーナ・
フォルミージネ・ ペデモンターナ「ロッソ・ フォスコ・ セッコ」Cantina Formigine Pedemontana Rosso Fosco Secco
ロッソ・ フォスコ・ セッコ
熟した赤い果実とバラの香り。なめらかな渋みの辛口の微発泡です。
- ぶどう品種
- ランブルスコ・グラスパロッサ
- 輸入元
- 株式会社ヴィントナーズ
微発泡と軽い渋みが、ひき肉とパンチェッタのラグーのコクを流し、トマトのほのかな甘みとも釣り合います。
お酒は20歳になってから。

この料理について
目次
- この料理について
- 🇮🇹 本格レシピ(L1)
- 🏪 日常レシピ(L2)
- よくある質問
「ボロネーゼ」は、正式には「ラグー・アッラ・ボロネーゼ」と呼ばれます。この土地では、1982年に公式なレシピが制度として定められ、2023年にはその内容が見直されました。当時使われていた牛の横隔膜という部位が今では手に入りにくくなったため、より入手しやすい部位も認められるようになるなど、暮らしの変化に合わせて少しずつ更新されてきた、今も生きているレシピです。
ボローニャは、卵を練り込んだ生パスタの本場でもあります。タリアテッレという幅広の平打ち麺は、南イタリアで主流の乾燥パスタとは対照的な、この土地の食文化そのものです。ボロネーゼがタリアテッレと合わせられるのは単なる好みではなく、この土地の歴史が選んできた組み合わせだからです。実際に手を動かす時間は30分ほどで、残りは弱火に鍋をまかせる時間になります。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
本格ボロネーゼの骨格は、牛肉とパンチェッタ、玉ねぎ・にんじん・セロリの香味野菜、そしてトマトです。トマトはこのラグーの脇役であり、主役はあくまで肉です。仕上げにはタリアテッレを合わせます。ボローニャでは、タリアテッレは伝統的に手打ちで仕上げる生パスタです。細く滑らかな乾麺のパスタでは、この本場ボローニャの組み合わせにはなりません。
材料(4人分)
| 材料 | 量 |
|---|---|
| 牛ひき肉(粗びき) | 300g |
| パンチェッタ(生の豚バラ肉) | 100g |
| 玉ねぎ | 60g |
| にんじん | 60g |
| セロリ | 60g |
| 赤ワインまたは白ワイン | 100ml |
| トマト(パッサータ、裏ごしトマト) | 200g |
| トマトペースト(ダブル濃縮) | 大さじ1 |
| 牛乳(お好みで) | 100ml |
| ブロード(肉または野菜の出汁) | 400〜600ml程度 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ2 |
| 塩・黒胡椒 | 各適量 |
| タリアテッレ(生パスタ) | 320g |
| 塩(パスタを茹でる湯用) | 適量 |
作り方
-
玉ねぎ(60g)・にんじん(60g)・セロリ(60g)を、それぞれ細かいみじん切りにします。
なお、ここはミキサーを使わず、包丁で刻むのがポイントです。ミキサーにかけると野菜から水分が出すぎ、じっくり炒めたときの香りと食感が変わってしまうからです。
-
厚手の鍋にエキストラバージンオリーブオイル(大さじ2)を入れ、刻んだパンチェッタ(100g)を弱めの中火でじっくり炒め、脂を溶かし出します。
-
みじん切りにした野菜を加え、弱火で10分ほど炒めます。玉ねぎが透き通ってきたら次に進みます。
-
牛ひき肉(300g)を加え、強めの中火で崩しながら10分ほどしっかり焼き色をつけます。
ポイントは、肉の表面をしっかり焼き付けることです。焼き色がつくことで肉の旨みが引き出されるため、途中で崩しすぎず、焦らず色づくのを待ちます。
-
赤ワインまたは白ワイン(100ml)を加えて強火にし、香りが立ってアルコール分が飛ぶまで煮立てます。
-
トマトペースト(大さじ1)とトマト(200g)を加えてよく混ぜ合わせます。ブロードを100mlほど加えて蓋をし、弱火で2〜3時間ほど、ときどき混ぜながらコトコトと煮込みます。
なお、鍋の中の水分が少なくなってきたら、そのつどブロードを少しずつ足します。ソースがふつふつと静かに動いている程度の火加減を保つのがポイントで、強い火にかけると水分が飛びすぎて肉が固くなってしまいます。半分ほど煮詰まったところで牛乳(100ml)を加えると、トマトの酸味が和らぎ、まろやかな仕上がりになります。
-
塩・黒胡椒で味を調えます。
-
別の鍋に湯を沸かして塩を加え、タリアテッレ(320g)を袋の表示時間どおりに茹でます。
-
茹で上がったタリアテッレをラグーの鍋に加え、茹で汁を少量加えながら手早く和えます。ソースがパスタ全体に絡んだら、皿に盛ります。
⚠️ やってはいけないこと
- 短時間の強火で仕上げない: 弱火でじっくり時間をかけることで、肉の繊維がほどけてコクが出ます。時間を縮めると、水っぽく物足りない仕上がりになります。
- スパゲッティなど細く滑らかな乾麺に変えない: 本場ボローニャでは、ボロネーゼは必ずタリアテッレと合わせます。平たく厚みのある表面だからこそ、時間をかけたソースをしっかり受け止められるからです。細い乾麺では同じソースでも印象がまったく変わります。
- 強い香りの香味野菜を後から加える必要はありません: 玉ねぎ・にんじん・セロリの組み合わせだけで、十分に奥行きのある香りが生まれるからです。
- 乳製品でとろみを足す必要はありません: 牛乳はお好みで加える程度で十分です。加えすぎるとトマトと肉の輪郭がぼやけてしまいます。
日本のスーパーでも、ボロネーゼの材料はほぼ揃います。パンチェッタの代わりに豚バラ薄切り肉、生のタリアテッレの代わりに乾燥タイプや幅広の卵麺を使えば、本格的なラグーが十分に再現できます。スーパーの材料でも、簡単に、本場のボロネーゼにもひけを取らない一皿に仕上がります。
主な変更点
- パンチェッタ(生の豚バラ肉) → 豚バラ薄切り肉(燻製でないもの。精肉コーナーで手に入ります)
- タリアテッレ(生パスタ) → 乾燥タヤテッレまたは幅広の卵麺(輸入食材コーナー。見つからない場合は乾麺パスタで代用しますが、本来の組み合わせとは異なります)
- ブロード(自家製の出汁) → 顆粒コンソメを湯で溶いたもの
材料(4人分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 牛ひき肉(粗びき) | manzo macinato | 300g | 精肉コーナー | — |
| 豚バラ薄切り肉 | pancetta | 100g | 精肉コーナー | ベーコンでも可(燻製の香りが加わる) |
| 玉ねぎ | cipolla | 60g | 野菜売り場 | — |
| にんじん | carota | 60g | 野菜売り場 | — |
| セロリ | sedano | 60g | 野菜売り場 | — |
| 赤ワインまたは白ワイン | vino | 100ml | 酒コーナー | 省略可(酸味がやや弱くなる) |
| トマト缶(カット) | pomodoro | 200g | 缶詰コーナー | パッサータでも可 |
| トマトペースト | concentrato di pomodoro | 大さじ1 | 輸入食材コーナー、チューブ入りでも可 | — |
| 牛乳(お好みで) | latte | 100ml | どこでも | 省略可 |
| 顆粒コンソメ+湯 | brodo | 400〜600ml程度 | どこでも | — |
| オリーブオイル | olio extravergine | 大さじ2 | どこでも | — |
| 塩・黒胡椒 | sale e pepe | 各適量 | どこでも | — |
| 乾燥タヤテッレまたは幅広卵麺 | tagliatelle | 320g | 輸入食材コーナー | 乾麺パスタ(本来の組み合わせとは異なる) |
| 塩(パスタを茹でる湯用) | sale | 適量 | どこでも | — |
作り方
-
玉ねぎ(60g)・にんじん(60g)・セロリ(60g)を細かく刻みます。フードプロセッサーを使う場合は、粗く刻む程度にとどめます。
-
鍋にオリーブオイル(大さじ2)と豚バラ薄切り肉(100g)を入れ、弱めの中火で脂が透き通るまで炒めます。
-
刻んだ野菜を加え、弱火で10分ほど、玉ねぎがしんなりするまで炒めます。
-
牛ひき肉(300g)を加え、強めの中火でほぐしながら10分ほど、しっかり焼き色がつくまで炒めます。
肉じゃがの下ごしらえで肉に先に焼き色をつけるのと同じ考え方です——旨みをいったん外に引き出しておくことで、長く煮込んだときの奥行きが変わってくるからです。
-
赤ワインまたは白ワイン(100ml)を加え、強火でアルコールの香りが飛ぶまで煮立てます。省略する場合はこの工程を飛ばして次に進みます。
-
トマトペースト(大さじ1)とトマト缶(200g)を加えて混ぜ、湯で溶いた顆粒コンソメ(100ml)を加えます。蓋をして弱火にし、2〜3時間ほど、ときどき混ぜながらことこと煮込みます。
おでんの大根を弱火でじっくり煮含めるときのように、火を弱くして長く待つほど、味がなじんでいきます。水分が減ってきたら、そのつどコンソメを少しずつ足してください。半分ほど煮詰まったら牛乳(100ml)を加えると、酸味がまろやかになります。
-
塩・黒胡椒で味を調えます。
-
別の鍋に湯を沸かして塩を加え、乾燥タヤテッレ(320g)を袋の表示時間どおりに茹でます。
-
茹で上がった麺をラグーの鍋に加え、茹で汁を少量ずつ加えながら手早く和えます。全体にソースが絡んだら皿に盛ります。
ヒント&コツ
- 煮込み時間が短いと感じても、途中で火を強めて時短しないでください。弱火でじっくり進めるほど、肉の食感がやわらかくなります。
- 冷蔵で3日ほど日持ちします。むしろ一晩置いたほうが、肉と野菜の旨みがなじんでおいしくなるとよく言われます。
- 幅広の乾燥卵麺が見つからない場合、フェットチーネという名前で売られていることもあります。パッケージの原材料表示で卵入りかどうか確認すると探しやすくなります。
このパスタソースは、時間をかけるだけの価値がある本格的な一皿です。日本のスーパーの材料でも、ここまで作れば十分にボロネーゼと呼べます。ボローニャの食堂では、湯気の立つタリアテッレの皿がテーブルに運ばれてくる、それだけの光景です。次にボローニャを訪れることがあれば、同じ一皿を頼んでみてください。
よくある質問
日本でよく見るミートソースとの違いは何ですか?
日本のミートソーススパゲティは、戦後に日本で独自に育った洋食の一皿で、ケチャップなどで甘みを強めたトマトソースを乾麺のスパゲッティに合わせるのが定番です。一方、本場ボローニャのボロネーゼは、牛肉とパンチェッタをじっくり煮込んだラグーで、トマトはあくまで脇役です。仕上げにはタリアテッレという卵入りの平打ち生パスタを合わせます。どちらも肉のソースという共通点を持つ、いわば親戚のような料理ですが、別々の道を歩んで完成した、それぞれ別の一皿です。
なぜスパゲッティではなくタリアテッレを使うのですか?
本場ボローニャでは、ボロネーゼはタリアテッレと合わせるのが決まりで、スパゲッティを使うことはありません。タリアテッレの表面は平たくざらついていて厚みもあるため、時間をかけて煮込んだソースをしっかり受け止められるからです。細くつるりとした乾麺だと、同じ量のソースでも絡み方が変わってきます。日本のスーパーでタリアテッレが見つからない場合は、L2で紹介した幅広の卵麺で代用してみてください。
どのくらい日持ちしますか?冷凍はできますか?
冷蔵で3日ほど日持ちします。一晩置くと肉と野菜の旨みがなじみ、むしろおいしくなるとよく言われます。小分けにして冷凍すれば1か月ほど保存できるので、多めに仕込んでおくのもおすすめです。解凍は冷蔵庫でゆっくり行ってください。
前日に作っておけますか?
はい、むしろ向いています。じっくり煮込むソースは時間を置くほど味がまとまるので、前日に仕込んでおき、食べる直前に温め直しながらパスタと和えるとよいでしょう。
合い挽き肉ではなく牛ひき肉を使うのはなぜですか?
本場のレシピは牛肉とパンチェッタの組み合わせが基本です。合い挽き肉でも作れますが、豚肉の脂の甘みが加わり、印象が少し変わります。まずは牛肉とパンチェッタで作ってみて、好みに応じて調整するとよいでしょう。
関連レシピ

トルテッリーニ・イン・ブロード|本場ボローニャ伝統のレシピ
ボローニャで公証人立会いのもと配合が定められた、豚ロースと生ハム、モルタデッラを詰めたトルテッリーニ。日本のスーパーと輸入食材店で揃う材料で、牛肉と鶏でとった澄んだブロードにひたひたと浮かぶ、あの一皿に仕上げます。
リボッリータのレシピ|本場トスカーナの郷土パン入りスープ
本場トスカーナでは硬くなったパンとカーボロネロ、白いんげん豆を煮込んで作るリボッリータ。手に入りにくい黒キャベツはケールで、日本のスーパーで揃う材料でも、パンがとろりと溶け込む滋味深い一杯に仕上げます。

カヴァテッリのレシピ|モリーゼ州の手打ちパスタと豚肉のラグー
モリーゼ州に伝わる、指先だけで作る生パスタ、カヴァテッリ。日本のスーパーで揃う豚肉と缶トマトでじっくり煮込んだラグーと合わせ、手作りのくぼみがソースをしっかり受け止める、素朴で滋味深い一皿に仕上げます。