Piemonte · ピエモンテ

バーニャカウダ

Bagna càuda

本場ピエモンテのバーニャカウダは、にんにくとアンチョビとオリーブオイルだけを弱火で40分。クリームを使わず、日本のスーパーで揃う材料で、なめらかな温かいソースに仕上げるコツまで紹介します。

公開日

赤い陶器の小鍋に入ったバーニャカウダのソースと、木の小箱に盛られた彩り豊かな生野菜のスティック
調理時間
60分
人数
2名分
材料費
約¥2300
難易度
やさしい

この料理に合うワイン

Cantina →
本場イタリアの一本
赤・辛口 · DOCG

バルベーラ・ダスティ

Barbera d'Asti

ルビー色で、チェリーやスミレの香り。辛口で酸味が爽やか、タンニンはやわらかです。

産地
ピエモンテ州
ぶどう品種
バルベーラ
造り手の例
  • プルノット「フュロット」
  • ミケーレ・キアルロ「レ・オルメ」
  • ヴィンキオ・ヴァッリョ「ヴィーニェ・ヴェッキエ 50」
日本で買える一本
赤・辛口 · イタリア・ピエモンテ州
プルノット

バルベラ・ダスティ フュロット

Prunotto Fiulot Barbera d'Asti

赤い果実とスミレの香り。果実味がフレッシュで、タンニンは穏やかです。

ぶどう品種
バルベーラ
輸入元
エノテカ株式会社
ワインショップや輸入食材店で同じワイン
合わせる理由

にんにくとアンチョビ、オイルの濃い味を、バルベーラの爽やかな酸味と果実味が受け止めます。

お酒は20歳になってから。

バーニャカウダを食卓で温め続けるための陶器の保温器。下の穴にろうそくを入れ、赤いパプリカが横に添えられている

この料理について

目次

  • この料理について
  • 🇮🇹 本格レシピ(L1)
  • 🏪 日常レシピ(L2)
  • よくある質問

バーニャカウダは、ピエモンテの方言で「温かいソース」を意味します。にんにく、アンチョビ、オリーブオイルをとろ火で長く加熱してなめらかなソースにし、冬の野菜を浸しながら、小さな鍋を囲んで食べる料理です。中世にさかのぼるとされ、寒い季節の農民の食事として、また収穫を祝う席の料理として親しまれてきました。

この土地では、2005年にアカデミア・イタリアーナ・デッラ・クチーナのアスティ支部が、公式のレシピとして公証人の立ち会いのもとで登録しました。ただし、家庭ごとの流儀はいまも幅があります。トリノ周辺では牛乳やバター、クリームを加える作り方が広まっていますが、本場の作り手の中には、それを良しとしない人も少なくありません。次の本格レシピは、登録されたレシピの骨格を土台にしています。


3つのレシピ、ひとつの料理

同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。

本格的なバーニャカウダの材料は、にんにく、アンチョビ、オリーブオイルの三つです。アンチョビは塩漬けを使い、にんにくは芽を取ってからオイルでゆっくり柔らかくします。クリームは使いません。三つの素材だけで成り立つソースなので、それぞれの役割を知っておくと、火加減の理由が見えてきます。にんにくがソースの甘みとなめらかさを作り、アンチョビが塩気と旨みを担い、オイルがそのすべてを運びます。

材料(2人分)

材料量
にんにく2玉(約16片)
アンチョビ(塩漬け)100g
エキストラバージンオリーブオイル250ml(うち60mlはにんにくの最初の加熱用)
赤ワイン(アンチョビを浸す用)100ml
バター(お好みで)20g
卵(お好みで、締め用)2個
添える冬野菜(カリフラワー、菊芋、かぶ、パプリカ、じゃがいも、玉ねぎなど)計1kg前後

作り方

  1. 添える野菜を準備します。カリフラワー(1/4個)は小房に分けて固めに茹で、じゃがいも(2個)は蒸します。玉ねぎ(1個)は皮つきのまま丸ごと焼き、竹串がすっと通るようにします。菊芋(2個)、かぶ(2個)、赤パプリカ(1個)は、生のまま食べやすく切ります。

    なお、本場では、ニッツァ・モンフェッラートの曲がりカルドン(アーティチョークの仲間)が欠かせない野菜とされています。日本では手に入りにくいため、ここでは入手しやすい冬野菜に置き換えています。

  2. にんにく(2玉)を1片ずつ外して皮をむき、縦半分に切って、中心の芽を取ります。

    ポイントは芽を取ることです。芽を除くと、にんにくの刺激が和らぎ、消化もよくなるとされています。

  3. アンチョビ(100g)を流水で洗って塩を落とし、中骨と尾を取って、キッチンペーパーで水気をふきます。赤ワイン(100ml)に数分浸してから取り出し、もう一度水気をふき取ります。

  4. 厚手の小鍋(できれば土鍋)に、にんにくとオリーブオイル(60ml)を入れ、いちばん弱い火にかけます。オイルがちりちりと音を立てない火加減を保ち、20分ほどかけてにんにくを柔らかくします。

    ここで大切なのは、オイルを揚げ油のように煮立てないことです。沸き立たせてしまうと、にんにくがゆっくり溶けてなめらかになる前に、表面だけが固くなってしまうからです。

  5. アンチョビと残りのオリーブオイル(約190ml)を加え、同じ弱火でさらに20分ほど煮ます。木べらでにんにくとアンチョビを崩しながら混ぜ、全体がなめらかなクリーム状になったら完成です。お好みで、仕上げにバター(20g)を溶かし混ぜます。

  6. 熱いうちに陶器の小鍋に移し、ろうそくなどの小さな火で温め続けながら食卓に出します。野菜をソースに浸して食べます。

    なお、登録されたレシピには、仕上げの少量のバターが含まれています。一方で、バターを加えない流儀もあるため、お好みで決めて構いません。

  7. 締めには、鍋に残ったソースが熱いうちに、溶きほぐした卵(2個)を加えて混ぜ、火を通します。ソースの旨みを余さず味わう、昔ながらの食べ方です。

⚠️ やってはいけないこと

  • オイルを煮立てない: 沸き立たせると、にんにくとアンチョビがなめらかに溶けないまま、口当たりの粗いソースになります。
  • アンチョビはオイル漬けで代えない(本格レシピの場合): 本場の作り手は、塩漬けを洗って使うことを基本とします。日常の台所での代用は、L2で正直にお伝えします。
  • 共有の鍋のソースを、パンですくい取らない: 本場の作法では、ほかの人の分のソースが減ってしまうため、パンでソースをすくうことは避けます。
  • 野菜の葉を、スプーン代わりに使わない: 鍋の底の濃いソースを、葉ですくって独り占めすることも作法に反します。

よくある質問

日本のバーニャカウダには牛乳やクリームが入っていますが、本場でも入れますか?

本場の純粋な作り方では、入れません。にんにく、アンチョビ、オリーブオイルが基本です。牛乳やバター、クリームを加える作り方は、トリノ周辺で広まったもので、好まない作り手も多くいます。にんにくの刺激を和らげるために、にんにくを牛乳で下茹でしてからオイルで煮る方法も、本場の家庭で知られています。日本で見かける濃厚でまろやかなタイプは、こうした流儀が土台になっているのかもしれません。

アンチョビはオイル漬けでも作れますか?

作れます。日本のスーパーで手に入る瓶詰のアンチョビフィレで、十分においしく仕上がります。違いは香りで、本場の作り手が洗って使う塩漬けに比べると、やや穏やかになります。塩は加えず、アンチョビの塩気だけで味を決めてください。

にんにくのにおいが気になります。どうすればいいですか?

にんにくは芽を取ってから加熱すると、刺激が和らぎます。牛乳で下茹でする方法もあります。ただ、においが完全に消えることはありません。翌日に予定のない夜に、ゆっくり楽しむ料理だと考えておくと気が楽です。

作り置きはできますか? 日持ちはどのくらいですか?

その日のうちに食べきるのが基本です。残ったソースは常温に置かず、冷蔵庫に入れて翌日までに使い切ってください。使うときは、鍋で温め直します。冷凍は、おすすめしません。

この料理に合うワインは?

ピエモンテでは、バルベーラ・ダスティを合わせるのが定番とされています。にんにくとアンチョビの濃い味を、きれいな酸味が受け止めてくれます。

代用食材ガイド