パネトーネのレシピ
ミラノ発祥のクリスマス菓子パネトーネを、日本で揃う材料と家庭のオーブンで焼きます。ドライイーストで作る日常版と、天然酵母で作る本格版の二通りで、バターが香るふんわりとした生地に仕上げます。
公開日

- 調理時間
- 420分
- 人数
- 8名分
- 材料費
- 約¥1800
- 難易度
- 本格的
この料理に合うワイン
Cantina ワインの早見表 →フランチャコルタ・ ドゥミ・ セック
瓶内二次発酵の泡。ほのかに甘く、桃やアンズの香りと爽やかな酸があります。
- 産地
- ロンバルディア州
- ぶどう品種
- シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ
- ベルルッキ「キュヴェ・
インペリアーレ・ ドゥミ・ セック」Berlucchi Cuvée Imperiale Demi Sec - リッチ・
クルバストロ「フランチャコルタ・ ドゥミ・ セック」Ricci Curbastro Franciacorta Demi Sec
天使のアスティ
マスカットの華やかな香りと果実味をもつ、アルコール7.5%の甘口の泡です。
- ぶどう品種
- モスカート・ビアンコ
- 輸入元
- 株式会社モトックス
甘口の泡が、バターとレーズンのやわらかな甘さに寄り添います。泡と酸味が後味を軽くします。
お酒は20歳になってから。

この料理について
パネトーネは、ミラノを中心とするロンバルディア州のクリスマスの菓子です。起源にははっきりした記録がなく、宮廷の厨房の見習いトーニが、焦がした菓子の代わりに作ったパンが名前の由来だとする話や、修道院の料理人の話など、複数の伝説が語り継がれています。確かめられる記録としては、17世紀初めのミラノ方言の辞書に、クリスマスに焼く大きなパンとして出てくるものがあります。名前についても、「大きなパン」という意味の語だとする説と、「豪華なパン」を意味する方言が変化したとする説があり、決着はついていません。
今の背の高いやわらかなかたちは、卵とバターが増えて型が必要になったことで生まれたとされ、20世紀に入って母種による長時間の発酵が定着していきました。イタリアでは2005年の国の規則で、パネトーネの名を名乗れる条件が決められています。天然酵母(パスタ・アシダと呼ばれる母種)で発酵させること、バターを乳脂肪分として16%以上、卵黄を4%以上、レーズンと柑橘の皮の砂糖漬けを合わせて20%以上入れること、そして油脂はバターに限ることです。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
規則が定める材料は、小麦粉、砂糖、卵(または卵黄)、バター、レーズンと柑橘の皮の砂糖漬け、天然酵母、塩の七つです。天然酵母は、発酵のためだけでなく、ほのかな酸味と、日持ちのよさのもとにもなります。生地を二度に分けて仕込むのは、酵母をしっかり力づけてから、バターと砂糖の重みのある生地を持ち上げさせるためです。
材料(750g用の紙型1台分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 強力粉(タンパク質の高いもの) | 250g |
| 天然酵母(加水率50%の母種、直前に種継ぎをして元気にしたもの) | 55g |
| 水 | 105g |
| 卵黄 | 約85g(5個分) |
| グラニュー糖 | 110g |
| バター(食塩不使用、室温でやわらかくしたもの) | 125g |
| はちみつ | 12g |
| モルトシロップ(大麦麦芽エキス) | 5g |
| 塩 | 3g |
| バニラビーンズ | 1本 |
| レーズン | 100g |
| オレンジピール(柑橘の皮の砂糖漬け) | 75g |
| マルサラ酒(レーズンを浸す用) | 適量 |
| 仕上げ用のバター | 少々 |
作り方
-
前日の夜、第1生地を仕込みます。強力粉(125g)、水(105g)、天然酵母(55g)、卵黄(約40g)、グラニュー糖(40g)、バター(60g)を、なめらかにまとまるまでこねます。 ここで酵母に十分な時間を与えることが、この菓子の土台です。
-
室温で約14時間、ゆっくり発酵させます。 ポイントは、焦らないことです。翌朝には、生地がふっくらと大きくなり、ほのかに酸味のある香りがします。
-
レーズン(100g)をマルサラ酒に30分以上浸し、水気をよくきっておきます。
-
第2生地を仕込みます。第1生地に、強力粉(125g)、卵黄(約45g)、グラニュー糖(70g)、はちみつ(12g)、モルトシロップ(5g)、塩(3g)、バニラビーンズの種(1本分)を加えて、よくこねます。 バター(65g)は数回に分けて加え、そのつど完全になじませます。一度に入れると、生地が油っぽく分離してしまいます。
-
生地がなめらかでつやが出たら、水気をきったレーズン(100g)とオレンジピール(75g)を、最後にさっと混ぜ込みます。 ポイントは、果実を最後に入れることです。早く入れると、こねている間につぶれ、生地に色や水分が移ります。
-
30分休ませてから、丸く整えて紙型に入れ、オーブンを切った庫内に庫内灯だけをつけて、発酵させます。生地が型の縁に届くまで、元気な母種なら6〜8時間が目安です。
-
表面に十字の切り込みを入れ、中央にバターを少しのせます。180℃で15分焼き、160℃に下げて約40分。竹串を刺して、生地がついてこなければ焼き上がりです。 なお、20分ほど経って表面が濃く色づくようなら、アルミ箔を軽くかぶせます。
-
焼き上がったらすぐに、型の底近くに竹串を2本刺し、逆さにして二つの台に渡して吊るし、完全に冷めるまで置きます。 というのも、焼きたての生地は骨格がまだ弱く、上向きのまま冷ますと自分の重みで縮んでしまうからです。
⚠️ やってはいけないこと
- バター以外の油脂に置き換えない: 香りも口どけも変わり、規則が定めるパネトーネの条件からも外れます。
- 発酵を急がない: 型の縁に届く前に焼くと、背が低く、目の詰まった生地になります。
- 焼き上がりを上向きのまま冷まさない: 骨格がまだ弱く、ふくらみが沈んでしまいます。
日本の家庭では、母種を保つこと自体が大きな壁です。そこで日常版は、天然酵母のかわりに耐糖性のドライイーストを使い、パン作りでおなじみの中種法に近い二段階で組み立てます。パネトーネの作り方としては簡略版ですが、バターと卵黄の香りを生かした、ふんわりとした生地には仕上がります。家庭のオーブンで失敗しないための手順を、さっそく見ていきましょう。
主な変更点
- 天然酵母 → 耐糖性ドライイースト。酸味と日持ちのよさは、天然酵母より控えめになります
- モルトシロップ → 省略。はちみつ12gで甘みとしっとり感を補います
- バニラビーンズ → バニラオイル少々
- マルサラ酒 → ラム酒。レーズンをやわらかくする役目は同じです
- 発酵は前日から翌日までではなく、その日のうちに終わります
材料(8人分:750g用の紙型1台分、調理時間7時間)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 強力粉(前生地用) | Farina manitoba | 150g | どこでも | — |
| ぬるま湯(前生地用) | Acqua | 100g | — | — |
| 耐糖性ドライイースト | Lievito | 3g | 製菓材料売り場、通販 | 砂糖が多い生地には、耐糖性が向いています |
| グラニュー糖(前生地用) | Zucchero | 15g | どこでも | — |
| 強力粉(本生地用) | Farina manitoba | 140g | どこでも | — |
| グラニュー糖(本生地用) | Zucchero | 95g | どこでも | — |
| 塩 | Sale | 3g | どこでも | — |
| 卵黄 | Tuorli d'uovo | 90g(5個分) | どこでも | — |
| はちみつ | Miele | 12g(小さじ2弱) | どこでも | — |
| 水(本生地用) | Acqua | 20g | — | — |
| バニラオイル | Vaniglia | 少々 | 製菓材料売り場 | バニラビーンズ1/2本 |
| バター(食塩不使用、室温でやわらかくしたもの) | Burro | 125g | どこでも | — |
| レーズン | Uvetta | 100g | どこでも | — |
| ラム酒 | Rum | 大さじ2 | 酒売り場 | ぬるま湯 |
| オレンジピール | Scorze di agrumi canditi | 75g | 製菓材料売り場、通販 | — |
| 仕上げ用のバター | Burro | 少々 | どこでも | — |
| 紙型(750g用) | Stampo di carta | 1枚 | 製菓材料店、通販 | 下の「ヒント&コツ」を参照 |
作り方
-
前生地を仕込みます。ぬるま湯(100g)に耐糖性ドライイースト(3g)とグラニュー糖(15g)を溶かし、強力粉(150g)を加えて、粉気がなくなるまで混ぜます。28℃前後で1時間〜1時間30分、倍近くにふくらむまで発酵させます。 なお、これは中種法の中種にあたる工程です。先に酵母を元気にしておくと、重い生地でもふくらみが安定します。
-
レーズン(100g)をラム酒(大さじ2)に30分以上浸します。水気をきったら、オレンジピール(75g)とともに、強力粉(少々)をまぶしておきます。
-
前生地に、強力粉(140g)、グラニュー糖(95g)、卵黄(90g)、はちみつ(12g)、水(20g)、バニラオイル少々を加えて、なめらかになるまでこねます。生地がまとまったら、塩(3g)を加えます。
-
バター(125g)を三回に分けて加えます。そのつど完全になじんでから次を入れ、生地が薄く伸びるまでこねます。 スタンドミキサーかホームベーカリーのこね機能があると楽です。手ごねだと、バターが多い分、かなり時間がかかります。
-
28〜30℃で1時間30分ほど、倍近くにふくらむまで一次発酵させます。そこに、水気をきったレーズンとオレンジピールをさっと混ぜ込み、30分休ませます。 ポイントは、果実を最後に入れることです。こねすぎると、果実がつぶれて生地に色が移ります。
-
丸く整えて、紙型に入れます。30℃前後で2時間から2時間30分、生地が型の縁に届くまで最終発酵させます。 ここで焦らないのが、背の高い生地に仕上げるコツです。
-
表面に十字の切り込みを入れ、中央にバター(少々)をのせます。180℃に予熱したオーブンの下段で15分、160℃に下げて40分ほど焼き、竹串に生地がつかなければ焼き上がりです。20分を過ぎて濃く色づいてきたら、アルミ箔をかぶせます。
-
焼き上がったらすぐに、型の底近くに竹串を2本刺し、逆さにして二つの台に渡して吊るします。完全に冷めるまでおきます。 シフォンケーキを逆さにして冷ます習慣と同じで、ふくらみを自分の重みで沈ませないためです。
ヒント&コツ
- 紙型が見つからないときは、底が外れない丸型を使い、クッキングシートで高さのある筒を内側に立てて、背を支える方法があります。最終発酵は時間ではなく、生地が筒の縁に届いたかどうかで判断します。
- 天然酵母を使った本格版より、ドライイーストの日常版は固くなりやすいため、焼いてから2〜3日以内に食べ切るのがおすすめです。
- 強力粉は、タンパク質の高いものほど背の高い仕上がりになります。
スーパーと製菓材料店で揃う材料でも、焼き上がりはしっかりパネトーネらしくなります。次にロンバルディア州を訪れることがあれば、ミラノのパン屋で本場の一台を買ってみてください。台所で逆さに吊るした一台の記憶と、静かに重なるはずです。
よくある質問
パネトーネとパンドーロの違いは何ですか? パネトーネはレーズンと柑橘の皮の砂糖漬けが入り、丸くて背の高い、表面に割れ目のある菓子です。パンドーロは果実が入らず、星形の断面を持つ円錐台のかたちで、バニラとバターの香りが特徴です。どちらも天然酵母で発酵させ、バターを多く使います。
天然酵母がなくても作れますか? 日常レシピのように、耐糖性ドライイーストでも作れます。ただしイタリアの規則では、天然酵母の発酵がパネトーネの名を名乗る条件なので、日常版は家庭向けの簡略版とお考えください。酸味と日持ちのよさは、天然酵母に及びません。
紙型がなくても焼けますか? 製菓材料店や通販で、パネトーネ用の紙型が手に入ることがあります。見つからなければ、底の外れない丸型に、クッキングシートで高さのある筒を立てる方法で代用できます。
どのくらい日持ちしますか? 冷凍できますか? 天然酵母の本格版は、ぴったり包んで常温で1週間ほどしっとりと保てるとされます。日常版は2〜3日以内に食べ切るのがおすすめです。切り分けてラップで包み、冷凍もできます。食べる前に自然解凍し、軽く温めると生地がやわらかくなります。
前日に作っておけますか? 焼いたあと、ひと晩おくと、生地がしっとりとなじみます。当日に焼きたてを食べるより、翌日のほうが、バターと卵の香りがまとまります。
この料理に合うワインは? ロンバルディア州のフランチャコルタ・ドゥミ・セックのような、やや甘口の泡のワインが定番です。バターとレーズンのやわらかな甘みに、泡の爽やかさがよく合います。
代用食材ガイド
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