ミラノ風カツレツ
ミラノ風カツレツは、仔牛の骨付きロースに卵とパン粉の衣をつけ、澄ましバターで焼く一皿です。とんかつとの違い、仔牛が手に入らないときの牛ロースでの作り方、バターを焦がさないコツまで紹介します。
公開日

- 調理時間
- 35分
- 人数
- 2名分
- 材料費
- 約¥2000
- 難易度
- ふつう
- カロリー(1人分)
- 約750kcal
この料理に合うワイン
Cantina ワインの早見表 →フランチャコルタ
瓶内二次発酵で造る辛口の泡。柑橘や白い果実の香りです。
- 産地
- ロンバルディア州
- ぶどう品種
- シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ
- カ・
デル・ ボスコ「キュヴェ・ プレステージ・ エディツィオーネ」Ca' del Bosco Cuvée Prestige Edizione - ベラヴィスタ「アルマ・
アッサンブラージュ」Bellavista Alma Assemblage
フランチャコルタ キュヴェ プレステージ エディツィオーネ
柑橘を土台に果実味が広がる、爽やかな酸の辛口の泡です。
- ぶどう品種
- シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ
- 輸入元
- 株式会社フードライナー
泡と酸味が、澄ましバターで焼いた衣の油分を軽く洗い流し、仔牛の繊細な味を残します。
お酒は20歳になってから。

ミラノ風カツレツとは
フライパンの中で、澄んだバターが静かに泡立っています。パン粉の衣は少しずつ金色に変わり、骨のまわりには、スプーンで溶けたバターをかけてやります。ミラノ風カツレツは、揚げ物というより、バターで肉を焼き上げる料理です。日本のとんかつに似て見えて、中身は別の考え方で組み立てられています。今日はその作り方を、なぜそうするのかも含めて、いっしょに見ていきましょう。
ミラノ風カツレツ(コストレッタ・アッラ・ミラネーゼ)は、仔牛のロースを骨付きのまま、卵とパン粉の衣で包み、澄ましバターで焼く料理です。ミラノ市は2008年に、この料理を市の地域呼称(De.C.O.)に認定しています。骨が残っていること、粉をはたかないこと、豚ではなく仔牛を使うことが、この一皿の要です。
起源には、説が分かれます。ミラノで古くから食べられていたという説と、ウィーンのシュニッツェルとつながりがあるという説があり、どちらも決め手に欠けたままです。ただ、両者ははっきり違う料理です。シュニッツェルは骨のない肉を薄く叩きますが、ミラノの伝統の姿は、厚みのある骨付きです。なお、ミラノの店でよく見る、骨のない大きく薄いタイプは「象の耳」と呼ばれる後世の形で、伝統的な認定の姿とは別ものです。
家庭で作るなら、日常版は35分ほどで焼き上がります。本格版は、澄ましバターを自分で作るところから始めるので、1時間ほど見ておくと安心です。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
ミラノ風カツレツの骨格は、仔牛のロース、卵、パン粉、澄ましバターの四つです。肉には骨をつけたまま、衣は卵とパン粉だけで、油ではなくバターで焼きます。レモンは、昔の料理書には添え物として出てきますが、今は添えないことが多いようです。
材料(4人分)
| 材料 | 量 |
|---|---|
| 仔牛のロース(骨付き) | 4枚(1枚250gほど、厚さ2cm前後) |
| 卵 | 3個 |
| パン粉(細かめ、乾燥させたパンを砕いたもの) | 125g |
| バター(澄ましバター用) | 250g |
| 塩(フレーク状) | 適量 |
作り方
-
仔牛のロースを用意します。表面の余分な脂を取り除き、骨は外さずに残します。縁の脂身と筋に、2〜3か所、浅く切り込みを入れます。軽く叩いて、厚さを2cm前後にそろえます。
なお、肉の厚さは、資料によって1〜3cmと幅があります。ここでは2cm前後を基準にしています。切り込みを入れるのは、焼いている間に肉が縮んで反り返るのを防ぐためです。
-
澄ましバターを作ります。鍋にバター(250g)を入れ、ごく弱火でゆっくり溶かします。表面に浮く白い泡をすくい取り、そのまま静かに置いて、底に沈む白い成分と澄んだ黄色の部分を分けます。澄んだ部分だけを別の容器に移します(およそ200g)。
ポイントは、バターを焦がさないことです。ふつうのバターは120〜140℃あたりから焦げ始めますが、白い成分を取り除いた澄ましバターは、それより高い温度まで耐えます。衣が色づく前にバターが焦げるのを避けるための下ごしらえです。
-
ボウルに卵(3個)を割り入れ、塩を入れずに溶きほぐします。別のバットにパン粉(125g)を広げます。
なお、卵に塩を入れないのは、水分が出て衣がゆるむのを避けるためです。味つけは、焼き上がりに塩をふって行います。
-
肉の水気をペーパーでしっかり拭き取ります。卵にくぐらせて余分な卵を落とし、パン粉をたっぷりつけます。手のひらで、肉の面から縁、骨のまわりまで押さえつけて、衣をなじませます。
ポイントは、粉をはたかず、卵とパン粉だけで包むことです。衣がはがれると、そこからバターが肉に入り込んで、重たい仕上がりになります。
-
大きなフライパンに澄ましバター(約200g)を入れ、中火より少し弱めの火で温めます。肉を入れ、片面4〜5分、衣が金色になるまで焼いて返し、反対の面も同じように焼きます。骨のまわりは、スプーンで溶けたバターを何度もかけて火を通します。一度に焼くのは1〜2枚までにします。
なお、焼き時間は肉の厚さによって変わります。厚さが2cmを超えるときは、片面6分ほどまで延ばしてください。焼き色と、押したときの弾力が目安です。
-
焼き上がったら、網の上かペーパーの上で油を切り、すぐに塩をふります。熱いうちに食卓へ出します。
なお、焼き上がりを重ねて置いたり、ふたをして待たせたりすると、蒸れて衣が湿ります。待たせる場合は、100℃ほどのオーブンに、扉を少し開けて入れておきます。
⚠️ やってはいけないこと
- 骨を外さない: 骨は火の通りを穏やかにして、肉の水分を守ります。伝統の姿では、骨を残すこと自体が料理の一部です。
- 粉をはたかない: ミラノ風は卵とパン粉だけの衣です。粉を足すと、衣の口当たりが変わってしまいます。
- 植物油やオリーブの油で焼かない: この料理の風味は、澄ましバターが生み出します。油に替えると、別の料理になります。
- 衣を二重にしすぎない: 衣が厚いと、肉の味より衣の味が前に出ます。薄く均一につけて、手のひらで押さえるくらいで十分です。
日本の家庭でも、ミラノ風カツレツは作れます。ただし、仔牛の骨付きロースは、スーパーの精肉売り場ではまず見かけません。この日常版では、手に入りやすい牛ロース(ステーキ用)を使い、パン粉は日本のものを砕いて、バターは自分で澄ましバターにします。日本で手に入る材料で、ミラノ風カツレツの考え方をそのまま体験できる一皿です。
主な変更点
- 仔牛の骨付きロース → 牛ロース(ステーキ用、厚さ1cmほど)。脂が多く、風味も強くなります。骨がないぶん、焼き時間は短く、片面2〜3分で済みます。精肉店や通販で仔牛が手に入るなら、そちらが本来の姿に近づきます
- パン粉 → 日本の乾燥パン粉を砕いたもの。日本のパン粉は粗くふんわりしているので、砕いて細かくすると、薄い衣になります
- 澄ましバター → ふつうのバターを溶かして上澄みを使います。ギーが手に入れば、そのまま使えます
- 豚で同じように作ると、とんかつの仲間になります。ミラノ風とは別の料理になるので、ここでは使いません
材料(2人分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 牛ロース(ステーキ用、厚さ1cmほど) | costoletta di vitello | 150g×2枚 | 精肉コーナー | 仔牛のロース(骨付き)。精肉店、通販 |
| 卵 | uova | 2個 | どこでも | — |
| 乾燥パン粉 | pangrattato | 60g | どこでも | — |
| バター(澄ましバター用) | burro chiarificato | 100g | 乳製品売り場 | ギー(輸入食材コーナー、通販)なら約80g |
| 塩(フレーク状) | sale in fiocchi | 適量 | どこでも | ふつうの塩でも可(控えめに) |
作り方
-
牛ロース(150g×2枚)の脂身と筋に、2〜3か所、浅く切り込みを入れます。ラップではさみ、めん棒や瓶の底で軽く叩いて、厚さを1cm前後にそろえます。
ポークソテーの筋切りと同じ要領です。切り込みを入れておくと、焼いている間に肉が反り返りません。
-
澄ましバターを作ります。小鍋にバター(100g)を入れ、ごく弱火で溶かします。表面の白い泡をすくい取り、1〜2分置いて、澄んだ黄色の部分だけを小さな容器に移します(およそ80g)。
出汁を漉して、澄んだ部分だけを取るのと同じ考え方です。白い成分を取り除くと、バターが焦げにくくなります。
-
乾燥パン粉(60g)を厚手のポリ袋に入れ、上からめん棒で転がして、細かく砕きます。バットに広げます。
-
ボウルに卵(2個)を割り入れ、塩を入れずに溶きほぐします。肉の水気をペーパーで拭き取り、卵にくぐらせて余分を落とし、パン粉をたっぷりつけて、手のひらでしっかり押さえます。
なお、とんかつのように粉をはたく必要はありません。卵とパン粉だけで、衣はきちんと付きます。
-
フライパンに澄ましバター(約80g)を入れ、中火より少し弱めの火で温めます。肉を入れ、片面2〜3分、衣が金色に色づくまで焼いて返し、反対の面も同じように焼きます。焼き色がついたら、スプーンで溶けたバターを肉の上にかけます。
なお、バターが茶色く焦げ始めたら、火を弱めます。衣の色づきとバターの色を、同時に見ておくのがポイントです。
-
焼き上がったら、網かペーパーの上で油を切り、フレーク状の塩(適量)をふります。熱いうちに食卓へ出します。
焼きたてをすぐに食べるのが、いちばんおいしい食べ方です。待たせると衣が蒸れて、ざくっとした口当たりが失われます。
ヒント&コツ
- 肉は、焼く前に冷蔵庫から出して10分ほど置き、水気をしっかり拭き取ってください。水気が残ると、衣がはがれやすくなります。
- パン粉は砕きすぎると粉のようになり、衣が重くなります。粒が見えるくらいに残すのが目安です。
- 添えるなら、レモンよりも、しゃきっとした葉野菜のサラダがよく合います。ただし、衣の上にのせると湿ってしまうので、皿の横に添えてください。
スーパーの材料でも、肉に卵とパン粉をまとわせ、澄ましバターで焼けば、ちゃんとミラノ風カツレツになります。次にミラノを訪れることがあれば、午後の食堂で、同じ一皿を頼んでみてください。焼きたての衣の音が、あなたの台所の記憶と静かに重なるはずです。
よくある質問
ミラノ風カツレツと、とんかつの違いは何ですか?
いちばん大きな違いは、肉と火の通し方です。ミラノ風は仔牛の骨付きロースを、卵とパン粉だけの衣で包み、澄ましバターで焼きます。とんかつは豚のロースやヒレに、粉、卵、パン粉の順で衣をつけ、たっぷりの油で揚げます。ミラノ風は、揚げるというより、バターで焼き上げる料理です。
仔牛が手に入らないときは、どうすればいいですか?
精肉店や通販で仔牛のロースを探すのが、本来に近い方法です。それが難しいときは、牛ロース(ステーキ用)で作れます。脂が多く風味も強くなりますが、考え方はそのまま使えます。豚で作ると、とんかつに近い別の料理になります。
澄ましバターは、ふつうのバターで代えられませんか?
ふつうのバターは、白い成分が含まれるぶん、焦げやすい性質があります。そのまま使うと、衣が色づく前にバターが焦げて、苦味が出てしまいます。手間がかかる場合は、ギーを使うのが近道です。
前日に作っておけますか? 冷凍はできますか?
焼き上がりの衣が命の料理なので、作りたてをおすすめします。残った分は、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れ、翌日までを目安に食べきります。温め直すときは、オーブントースターなどで、中心まで十分に熱くなるよう加熱してください。冷凍は、衣の食感が失われるため、おすすめしません。
この料理に合うワインは?
ロンバルディア州の発泡性ワイン、フランチャコルタがよく合います。バターで焼いた衣の香ばしさと油分を、泡と酸味が軽く洗い流してくれます。
子供でも食べられますか?
肉はしっかり中まで火を通せば、子供でも食べられます。焼きたては衣も肉もとても熱いので、少し休ませて切り分けてから取り分けてください。
代用食材ガイド
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