カヴァテッリ・アル・ラグー
モリーゼ州に伝わる、指先だけで作る生パスタ、カヴァテッリ。日本のスーパーで揃う豚肉と缶トマトでじっくり煮込んだラグーと合わせ、手作りのくぼみがソースをしっかり受け止める、素朴で滋味深い一皿に仕上げます。
公開日 · 更新日

- 調理時間
- 150分
- 人数
- 4名分
- 材料費
- 約¥1500
- 難易度
- ふつう
この料理に合うワイン
Cantina ワインの早見表 →ティンティリア・ デル・ モリーゼ
濃いルビー色で、プラムや黒胡椒の香りがあり、しっかりしたタンニンです。
- 産地
- モリーゼ州
- ぶどう品種
- ティンティリア
- カタッボ「コッレ・
チェルヴィーノ」Catabbo Colle Cervino - ディ・
マーヨ・ ノランテ「ティンティリア」Di Majo Norante Tintilia
ティンティリア・ デル・ モリーゼ
熟したベリーにミントや杉の香り、なめらかで凝縮した果実味です。
- ぶどう品種
- ティンティリア
- 輸入元
- 株式会社モトックス
豚肉をじっくり煮込んだラグーの脂とうま味を、果実味とスパイスの香りのある赤が支えます。
お酒は20歳になってから。

この料理について
モリーゼの手作りパスタ、カヴァテッリの起源は正確にはわかっていません。中世の宮廷の記録に、指で作られたくぼみのあるパスタへの言及があるという言い伝えもありますが、一次資料で裏付けられた定説ではなく、あくまで語り継がれた話として紹介するにとどまります。確かなのは、南イタリアの広い地域(モリーゼをはじめ、プーリア、アブルッツォ、バジリカータ)で、指先だけで生地に溝を刻む同じ技法が古くから伝わってきたということです。一つの土地から広まったのか、それぞれの土地で並行して生まれたのかは、今なお意見が分かれています。それでも、この生地はモリーゼ州の伝統的農産物のリストにも名を連ね、この土地の食卓を象徴する一皿として今日まで受け継がれてきました。州都カンポバッソ周辺では「カヴァテッリ」、州北部イゼルニアの山あいでは「チカテッリ」と、地域によって呼び名も少しずつ変わります。
日曜日の食卓では、この生地に豚肉のラグーを合わせるのが昔からの習わしです。骨付きの豚肉とソーセージを何時間も煮込んだソースは、パスタの調味料であると同時に、鍋に残った肉そのものが二品目の主菜にもなります。一度の火にかけて二つの料理を仕込む、台所仕事の知恵がここにはあります。
3つのレシピ、ひとつの料理
同じ料理を3つのレベルで。本格にどこまで寄せるかは、あなた次第です。
カヴァテッリの生地は、デュラムセモリナ粉と水、塩だけで作られます。他の生パスタでよく使われるようなつなぎとなる材料は加えません——粒の粗いセモリナが水をしっかり吸うことで、それだけで十分なコシが生まれるからです。指先で生地を板の上に押し転がし、細長いくぼみを刻む工程には省略の余地がなく、このくぼみこそが煮込んだラグーをすくい取るための構造そのものです。
材料(4人分)
生地
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| デュラムセモリナ粉 | 500g |
| 水(ぬるま湯) | 250ml |
| 塩 | ひとつまみ |
ラグー
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 豚スペアリブ(骨付き) | 400g |
| 豚肉のソーセージ | 200g |
| トマト缶(ホールまたは裏ごし) | 600g |
| 玉ねぎ | 1個 |
| にんじん | 1/2本 |
| セロリ | 1/2本 |
| 赤ワイン | 大さじ3 |
| エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ3 |
| 塩・黒胡椒 | 各適量 |
| ペコリーノ・ロマーノ(すりおろし、仕上げ用) | 適量 |
作り方
-
デュラムセモリナ粉(500g)をこね台に山にし、中央にくぼみを作って塩(ひとつまみ)を溶かした水(250ml)を少しずつ注ぎ入れます。外側から粉を崩し込みながら、生地が一つにまとまるまで10分ほどこねます。
-
生地を丸めて布巾をかけ、常温で30分ほど休ませます。
なお、休ませずに成形すると生地が締まりすぎて、指の圧力だけではくぼみがうまく刻めません。
-
生地を直径1.5cmほどの棒状に伸ばし、1.5〜2cmほどの小さな塊に切り分けます。指2本(人差し指と中指)の腹を使い、板の上で軽く押しつけながら手前に引き寄せ、細長いくぼみのある形に一つずつ仕上げていきます。
-
玉ねぎ、にんじん、セロリをみじん切りにし、オリーブオイル(大さじ3)で中火にかけ、しんなりするまで炒めます。
-
豚スペアリブ(400g)を加え、表面に焼き色がつくまで炒めたら、赤ワイン(大さじ3)を回し入れてアルコール分を飛ばします。
-
トマト缶(600g)を加えて塩で下味をつけ、弱火にしてふたを少しずらしてのせ、1時間30分ほど煮込みます。
なお、この時点でソースの色が薄く感じても心配はいりません。煮詰まるにつれて、豚肉から出るコクが加わり、味の濃さが増していきます。
-
ソーセージ(200g)を加え、さらに30分ほど煮込みます。骨から身がほろりと外れるようになったら火を止めます。
-
湯を沸かして塩を加え、カヴァテッリを7〜8分ほど、くぼみの中心まで火が通るまで茹でます。湯を切ってラグーと和え、器に盛ってペコリーノ・ロマーノをたっぷりかけます。
⚠️ やってはいけないこと
- つなぎとなる材料を加える:モリーゼの伝統的な生地はセモリナと水と塩だけで作られます。他の生パスタでよく使われるつなぎを加えると、粒だった歯ごたえが失われ、別の生地に近づいてしまいます。
- 生地の休ませを省く:休ませずに成形すると生地が硬く締まり、指の圧力だけではくぼみがきれいに刻めません。
- ラグーを煮詰めずに使う:短時間で仕上げると水っぽく、くぼみにソースが留まりません。じっくりとした時間が、このソースの骨格です。
日本の台所では、デュラムセモリナ粉は輸入食材店や一部スーパーの製粉コーナーでしか見つかりません。日常的な買い物では強力粉のほうが手軽なので、ここでは強力粉を使います。骨付きの豚肉が手に入らなければ、精肉コーナーの角切り肉で置き換えても、じっくり煮込めばこの一皿の核心である、くぼみにとろりと収まるラグーは十分に再現できます。
主な変更点
| 項目 | L1(本格) | L2(日本での代用) | 妥協点 |
|---|---|---|---|
| パスタ生地 | デュラムセモリナ粉 | 強力粉 | 粒立った歯ごたえがやや穏やかになるが、くぼみの構造は変わらない |
| 豚肉 | 骨付き豚スペアリブ | 豚肩ロース肉の角切り | 骨からのコクはやや控えめになるが、じっくり煮込む工程は同じ |
| ソーセージ | 豚肉のソーセージ | 輸入食材店の生ソーセージ(または下味をつけた豚ひき肉) | 香草の香りがやや軽くなる |
| チーズ | ペコリーノ・ロマーノ | 粉チーズ(パルメザン) | 塩気とコクがやや穏やかになる |
材料(4人分)
| 材料(JP) | 元の名前(IT) | 分量 | どこで買えるか | 代用 |
|---|---|---|---|---|
| 強力粉 | semola di grano duro | 500g | どこでも | セモリナ粉があれば本場に近づく |
| 水(ぬるま湯) | acqua | 250ml | どこでも | — |
| 塩 | sale | ひとつまみ+適量 | どこでも | — |
| 豚肩ロース肉 | costine di maiale | 400g | スーパーの精肉コーナー | 骨付きの豚肉があれば風味が増す |
| 豚肉のソーセージ | salsiccia di maiale | 200g | 輸入食材店・精肉コーナー | 皮を外した豚ひき肉に塩・黒胡椒で下味 |
| トマト缶 | pomodoro | 600g | どこでも | — |
| 玉ねぎ・にんじん・セロリ | soffritto | 各適量 | どこでも | セロリを省いても味の骨格は保たれる |
| 赤ワイン | vino rosso | 大さじ3 | どこでも | 省略可(コクはやや落ちる) |
| エキストラバージンオリーブオイル | olio extravergine d'oliva | 大さじ3 | どこでも | — |
| 粉チーズ(パルメザン) | pecorino romano | 適量(仕上げ用) | どこでも | — |
作り方
-
ボウルに強力粉(500g)と塩(ひとつまみ)を合わせ、水(250ml)を少しずつ加えながら、粉気がなくなるまで手でこねます。まとまったら10分ほどこね、布巾をかけて30分ほど休ませます。
-
生地を直径1.5cmほどの棒状に伸ばし、1.5〜2cmの塊に切り分けます。指2本の腹で板の上に押しつけながら手前に引き寄せ、くぼみのある形に成形します。餃子の皮を一枚ずつ丸く伸ばす動きと同じように、繰り返すうちにコツがつかめてきます。
なお、専用の板がなくても、フォークの背やまな板の木目を使えば同じように溝を刻めます。
-
玉ねぎ・にんじん・セロリのみじん切りをオリーブオイル(大さじ3)で中火にかけ、しんなりするまで炒めます。
-
豚肩ロース肉(400g)を加えて焼き色をつけ、赤ワイン(大さじ3)を回し入れてアルコール分を飛ばします。
-
トマト缶(600g)を加えて塩で下味をつけ、弱火にしてふたを少しずらしてのせ、1時間ほど煮込みます。
なお、脂の多い部位をことこと煮込んでいく感覚は、豚の角煮をじっくり時間をかけて仕上げる工程によく似ています。
-
ソーセージ(200g)を加え、さらに20分ほど煮込みます。肉に竹串がすっと通るようになったら火を止めます。
-
カヴァテッリを塩を加えた湯で7〜8分ほど、くぼみの中心まで透き通るまで茹でます。湯を切ってラグーと和え、器に盛って粉チーズをたっぷりかけます。
ヒント&コツ
- ラグーは多めに作って冷凍しておくと、パスタを茹でるだけで平日の一皿が完成します。冷蔵なら2日ほど保存できます。
- 生地は成形の途中で乾いてきたら、濡れた布巾をかけながら作業すると割れにくくなります。
- くぼみの形にこだわりすぎず、細長い筒状になるだけでもソースはしっかり絡みます。
日本のスーパーの材料でも、くぼみにラグーがとろりと収まれば、もう十分にカヴァテッリ・アル・ラグーです。次にモリーゼを訪れることがあれば、日曜日の食卓でこの一皿を分けてもらってみてください。あなたの台所で刻んだくぼみの感触と、静かに重なるはずです。
よくある質問
専用の板や道具がなくても作れますか? はい。まな板の木目や、フォークの背を使っても、指で押しつけながら手前に引く動きで同じような溝が作れます。
生地やラグーは前日に作っておけますか? ラグーは前日に作っておくと、むしろ味がなじんでおいしくなります。生地は成形したてのほうが香りが良いので、できれば食べる直前に仕上げるのがおすすめです。
冷凍できますか? ラグーは冷凍できます。生地は乾燥させれば数日は保存できますが、生のまま冷凍するとくぼみが崩れやすくなるため、できれば早めに使い切ってください。
子供でも食べられますか? はい。黒胡椒を控えめにすれば、子供にも食べやすい優しい味になります。
この料理に合うワインや副菜は? モリーゼ州の赤ワイン、ティンティリアがよく合います。副菜には、軽く炒めた青菜や、シンプルな葉野菜のサラダがよく合います。
代用食材ガイド
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